ディキリとトリキリ

ディキリとトリキリの概要

ディキリとトリキリは、正教会において主教が奉神礼の際に利用される重要な宗教的器具です。これらは燭台であり、信徒を祝福する時に用いられます。主教は、右手に3本の蝋燭を装備したトリキリを、左手には2本の蝋燭を有するディキリを持つことが一般的です。

この燭台の名称は、日本の明治時代に出版された正教会の文献に由来しています。当時は、ディキリは「二光燭」、トリキリは「三光燭」と表記されていましたが、現代ではカタカナ表記の「ディキリ」「トリキリ」が一般的に使用されています。

意義と象徴

ディキリ（ギリシャ語: δικήριον）は、イエス・キリストの神性と人性の両面を象徴しています。このため、2本の蝋燭を持つディキリは、神と人間の二つの性質を表現しています。一方で、トリキリ（ギリシャ語: τρικήριον）は、聖霊を含む至聖三者、つまり三位一体を象徴しています。そのため、トリキリには3本の蝋燭が取り付けられており、三位一体の神秘を示しています。

両者は主教が信徒を祝福する時以外は、聖堂や至聖所内の宝座の左右に置かれています。また、主教による祈祷の奉神礼では、副輔祭や他の役員がこれらの燭台を持つ場面も見られます。

各国語表記

ディキリには様々な言語での表記があります。ギリシャ語では「δικήριον」、ロシア語では「дикирий」、英語では「Dikirion」と呼ばれています。同様に、トリキリも異なる言語での表記があり、ギリシャ語での「τρικήριον」、ロシア語の「трикирий」、英語では「Trikirion」とされています。

伝統と現代

ディキリとトリキリは、正教会の伝統の中で長い歴史を持つ宗教的な道具です。彼らは信仰の表現だけでなく、儀式の重みや神聖さを一層強める役割を担っています。それぞれの燭台に込められた意味を理解することで、正教の教義や信仰についての理解を深めることができるでしょう。これらの工具は、宗教的祭事や個々の信仰生活において、重要な位置を占めています。

このように、ディキリとトリキリは、正教会における重要なシンボルであり、信徒と主教との間の神聖な関係を体現しています。

もう一度検索