ディスカス

ディスカス魚について

ディスカス（英名: discus fish）は南アメリカのアマゾン川周辺に生息する淡水魚で、シクリッド科のシムフィソドン属に属しています。観賞用の熱帯魚として非常に人気があり、その美しい体型と色彩から「熱帯魚の王様」とも呼ばれています。

特徴

成魚の体長は最大20センチメートル、尾びれを除いた体長は約13センチメートルに達します。ディスカスの特徴的な点は、扁平で非常に高い体型をしており、横から見るとほぼ円形をしています。この円盤（ディスク）型の体形が名称の由来となっています。背びれと尻びれは長く、体の後半部分を囲むように広がっています。また、体側には約8本の黒い横帯があり、この模様は個体や地域によって多様性があります。

一般的にディスカスは赤褐色の地色に、青色から緑色の不規則な筋模様が見られます。アマゾン地域では、乾季には倒木の隙間に生息し、雨季には水没林へ移動します。食性は水棲の小動物やデトリタス（動植物由来の有機物）を摂取します。

繁殖期にはオスとメスがペアを作り、水草や木の表面に50から300個の卵を産むことが知られています。両親は卵を保護し、約2.5日後に孵化します。孵化した稚魚は7日間の間、卵黄を吸収した後、親の周囲で泳ぎ始めます。この時、親魚は特有の粘液「ディスカスミルク」を分泌し、稚魚はそれを餌として摂取します。ディスカスの稚魚は初期にはプランクトンを食べることができず、ディスカスミルクが生存に必須となります。

飼育と品種

ディスカスは美しい模様と形状から人気が高いですが、飼育には特別な配慮が必要です。他のシクリッドに比べ高価に取引される傾向がありますが、食事や水質の管理が難しいため慎重な飼育が求められます。飼料としては牛ハツのミンチを栄養添加した「ディスカス・ハンバーグ」や赤虫、特製の人工飼料が広く用いられています。

また、品種改良が盛んな東南アジアやヨーロッパでは、ブルーダイアモンドやピジョンブラッド、スネークスキンといった多様な品種が育成されています。原種の色彩は個体差や採集地域によって大きく異なり、美しさに応じて高値で売買されます。

野生種および亜種

分類についての研究は進行中で、ディスカスは大きく2種と5亜種に区分されます。特に、ブラウンディスカスとヘッケルディスカスという2つの主要グループが存在します。ヘッケル・グループは体側に目立つ黒い横縞が特徴で、学名はSymphysodon discus Heckelから名付けられています。

aequifasciatus・グループはコロンビアやペルーに分布し、他の亜種と比べて黒い帯が細く、目立たない特性があります。最近の研究ではシングー川に生息する個体群が遺伝的に独立していることが示されていますが、種間の交雑も観察されることから、分類は複雑です。

以上のように、ディスカスはその多様な特徴と美しさから熱帯魚として広く愛されていますが、飼育には注意が必要です。

もう一度検索