ディスコセア綱

ディスコセア綱（class Discosea）

ディスコセア綱は、単細胞生物の一群であるアメーボゾア門に属する主要な分類群の一つです。このグループは、アメーバ様細胞を持つ生物が集められており、特にその細胞の形状に特徴が見られます。

特徴

ディスコセア綱に属するアメーバは、その細胞が一般的に扁平な形をしていることが大きな特徴です。他のアメーボゾアのグループ、例えばツブリネア綱に見られるような、細長く伸びたり、円柱状になったりする形態は通常取りません。活動時においても、細胞全体が広がって板状や扇状になることが多いです。この扁平な形状は、基質上を這うように移動する際に有利であると考えられます。

分類上の位置づけと下位分類

近年の生物分類学では、形態だけでなく遺伝子情報に基づいた分子系統解析が広く用いられています。この分子系統解析による分類体系において、ディスコセア綱はアメーボゾア門全体を構成する、三つの主要な系統分岐のうちの一つとして重要な位置を占めています。これは、アメーボゾアの進化史において、ディスコセア綱が比較的早い段階で他の主要なグループから分かれて独自の進化を遂げたことを示唆しています。

2019年時点での知見に基づくディスコセア綱の下位分類は、研究者によって提唱された体系により、いくつかの亜綱や目に分けられています。主な下位分類群は以下の通りです。

Flabellinia亜綱 (Smirnov et al., 2005)
テカアメーバ目 (Thecamoebida Smirnov & Cavalier-Smith, 2011)
デルモアメーバ目 (Dermamoebida Cavalier-Smith et al., 2004)
ダクティロポディダ目 (Dactylopodida Smirnov et al., 2005 sensu Kang et al., 2017)
ヴァンネラ目 (Vannellida Smirnov et al., 2005)

亜綱不詳のグループ
スティグアメーバ目 (Stygamoebida Smirnov & Cavalier-Smith, 2011)

Centramoebia（亜綱相当） (Cavalier-Smith et al., 2016)
アカンソポディダ目 (Acanthopodida Page, 1976)
ペリタ目 (Pellitida Smirnov & Cavalier-Smith, 2011 sensu Kang et al., 2017)
* ヒマティスメニダ目 (Himatismenida Page, 1987)

これらの分類群は、細胞の微細構造や遺伝子情報、生活様式などに基づいてさらに細分化される場合があります。生物の分類体系は、新たな研究結果が得られるたびに見直される可能性があり、特に微小な生物であるアメーバの分類は流動的な部分も含まれています。インプット情報には「分類体系の変遷」という項目も含まれており、これは分類が確定的なものではなく、科学的な知見の蓄積によって変化してきた歴史があることを示しています。

ディスコセア綱は、扁平な形態という共通の特徴を持ちつつも、その内部には多様なアメーバが含まれており、アメーボゾアの進化や多様性を理解する上で重要な研究対象となっています。

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