ディッケ・ベルタ

ディッケ・ベルタ：歴史の舞台に現れた巨大榴弾砲

ディッケ・ベルタ（Dicke Bertha）は、ドイツのクルップ社によって設計・製造された口径42cmの巨大榴弾砲で、第一次世界大戦でドイツ帝国陸軍に使用されました。この砲は、その著名な名の由来がクルップ社社長夫人の名前に由来しており、戦時中には英米軍によって「ビッグ・バーサ」という愛称で知られるようになりました。しかし、この愛称は単に42cm榴弾砲に限らず、ドイツにおける巨大砲全般を指すことが多く、中でも有名なのはパリ砲などがあります。

起源と設計

ディッケ・ベルタの原型は1890年代に遡り、その目的はフランスとの国境地域での要塞を攻略するために設計されました。特に鉄道を用いた輸送と組立設置が計画されていました。この構想は、日露戦争の際に日本陸軍が28cm榴弾砲を使用したことから影響を受けたとされています。これを受けて、1904年には42cmガンマ榴弾砲の開発が始まり、さらに移動能力が求められるようになりました。

最終的に、ガンマ砲は砲車の車輪を使った野戦砲の形式に改良され、大規模な移動が可能となりました。ディッケ・ベルタは820kgの砲弾を仰角80°で約15km飛ばす能力を持っていました。

使用と戦果

この巨大榴弾砲は1914年に完成し、第一次世界大戦の初期にリエージュの戦いで初めて使用されました。初戦ではリエージュ市の降伏後も防衛を続けていた保塁を壊滅させるなど、その威力を発揮しました。ヴェルダンの戦いにおいても、数々の堡塁を猛烈な砲撃によって壊滅させるなどの戦果を上げました。

しかし、その巨大さと重量が災いして、移動には困難が伴いました。さらに、装甲が施されていなかったために、位置が敵に特定されると軽量の野砲によって反撃を受け、比較的容易に破壊されてしまうケースが多く見られました。特にヴェルダンの戦いでは、多くのディッケ・ベルタが損傷を被りました。

補充とその後

また、この砲は非常に巨大で高価だったため、追加生産が容易ではなく、結果としてドイツ軍は要塞攻撃において必要な火力を欠くことになりました。ディッケ・ベルタの設計は後のカール自走臼砲に引き継がれましたが、次世代の砲も重量の増加には対応しきれず、装甲化などの改良は行われませんでした。

関連事項

ディッケ・ベルタに関する知識は、榴弾砲や要塞についての理解を深める手助けとなるでしょう。また、一般生活と軍事技術の交差点には、キャロウェイゴルフのゴルフクラブブランド「ビッグバーサ」が存在します。そして、フランスの週刊誌シャルリー・エブドの前身の一つが『ラ・グロス・ベルタ』という名前だったことも注目に値します。ディッケ・ベルタは、戦争という厳しい歴史の中で、決して色褪せることのない印象を人々に与え続けています。

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