ディッセンバーズ・チルドレン

ローリング・ストーンズ『ディッセンバーズ・チルドレン』：アメリカを席巻した名盤

1965年、ローリング・ストーンズはアメリカで5作目のオリジナルアルバム『ディッセンバーズ・チルドレン(And Everybody's)』をリリースしました。このアルバムは、バンドのアメリカにおける人気を決定づける重要な作品となりました。

アルバムの構成と背景

『ディッセンバーズ・チルドレン』は、主にイギリス盤『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』からの楽曲で構成されていますが、それだけでなく、重要な違いがあります。アメリカでの最新シングル「一人ぼっちの世界」と「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」、アメリカでは未発表だった「ユー・ベター・ムーヴ・オン」、そしてライヴEP『ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット』からの2曲「ルート66」と「アイム・ムーヴィン・オン」が追加収録されています。さらに、このアルバムで初披露となる「ルック・ホワット・ユーヴ・ダン」と「ブルー・ターンズ・トゥ・グレイ」も収録され、全12曲という充実した内容となっています。ジャケットデザインは、イギリス盤『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』と同様のデザインが用いられました。

ビルボード200で4位という輝かしい成績を収め、ゴールドアルバムにも認定された本作は、商業的にも大きな成功を収めました。しかし、ミック・ジャガー自身は、このアルバムについて「単なる曲の寄せ集めで、アルバムとは呼べない」とコメントしており、その制作背景には複雑な事情があったことが窺えます。アルバムタイトルの由来について、ジャガーはマネージャーのアンドリュー・オールダムのアイデアだと説明しています。「ヒップなビート詩人」をイメージしたタイトルだったようです。

収録曲：多様な楽曲群

アルバムは、ブルース、R&B、ロックンロールなど様々な音楽性が融合した楽曲群で構成されています。収録されている楽曲は、オリジナル曲の他、チャック・ベリー、アーサー・アレクサンダー、ハンキンスノーなどの楽曲のカヴァーも含まれ、ローリング・ストーンズの幅広い音楽性を示す作品となっています。特に注目すべきは、マリアンヌ・フェイスフルへの提供曲として知られる「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」のセルフカバーが収録されている点です。この曲はアメリカでもシングルカットされ、大きなヒットとなりました。その他、B面曲として人気を集めた楽曲なども収録され、アルバム全体の完成度を高めています。

再発売と評価

『ディッセンバーズ・チルドレン』は、2002年にアブコ・レコードよりリマスターされ、SACDとのハイブリッドCDとしてデジパック仕様で再発売されました。さらに2006年には紙ジャケット仕様でも再発売されており、長年に渡って音楽ファンに愛され続けていることがわかります。

商業的な成功、多様な楽曲、そして再発売の歴史から見ても、『ディッセンバーズ・チルドレン』はローリング・ストーンズのキャリアにおいて重要な作品であり、ロック音楽史においても特筆すべきアルバムの一つと言えるでしょう。その音楽的価値は、現在でも高い評価を受けています。アルバム全体から伝わるエネルギーと、それぞれの楽曲が持つ個性が融合し、聴くものを魅了する名盤と言えるでしょう。

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