ディット・クラッパー

ディット・クラッパーについて

ディット・クラッパー（Aubrey Victor "Dit" Clapper、1907年2月9日 - 1978年1月21日）は、カナダのオンタリオ州ニューマーケットで生まれたプロアイスホッケー選手です。彼は主に右ウイングおよびディフェンスのポジションで活躍し、NHLのボストン・ブルーインズに20シーズン在籍しました。クラッパーはそのキャリアの中で、オールスターゲームに選ばれるなど、多くの素晴らしい実績を残しました。特に、引退したその日にホッケーの殿堂入りが決まるという特例も受けました。また、彼の背番号5はブルーインズの永久欠番に指定されています。

幼少期とキャリアの始まり

ディット・クラッパーは幼い頃、両親から「ヴィク」と呼ばれていましたが、自身の名前を「ディット」としか発音できなかったため、その愛称が定着しました。1927年、19歳の若さでボストン・ブルーインズと契約し、11年間にわたってライト・ウイングとしてプレーしました。

加入から2年目の1928-29シーズンには、彼の才能が開花し、スタンレー・カップで初の優勝を経験します。このシーズンには、44試合で41ゴール、20アシストという素晴らしい成績を収め、ポイント数でNHL第3位となるなど、期待以上の活躍を見せました。

ポジションの転換とさらなる成功

1938-39シーズンからは、彼の体格（身長6フィート2インチ、体重195ポンド）を活かしてディフェンスに転向しました。このポジション変更が功を奏し、そのシーズンには再びスタンレー・カップを制覇します。さらに、1939年から1941年にはオールスター第1チームに選出され、彼の名声はますます高まりました。

クラッパーはブルーインズの攻撃的スタイルの中でも、特に乱闘の仲裁役として知られていました。暴力に訴えることは少なかったものの、仲間を守るために積極的に行動する姿勢がありました。一方で、激しい怒りを表す一面も持ち合わせており、際どい場面ではすぐに感情を爆発させることがあったと言われています。

例えば、1936年のプレイオフでは、モントリオール・マルーンズの選手による不正行為に対して、クラッパーはこの選手に報復し、これがきっかけで若い審判に対しても暴行を働いてしまうという一幕もありました。この審判は後にNHLの会長になるクラレンス・キャンベルであり、この事件によりクラッパーは罰金を科せられることとなりました。

引退後の活動

1940-41シーズンには自身3度目のスタンレー・カップ優勝を果たし、20年にわたるNHL在籍は当時の最長記録としても知られています。引退後はブルーインズのコーチにも就任し、選手とコーチの両方を務める中でチームを良好な成績に導きました。彼のコーチングのスタイルは選手たちから信頼を受けられ、地元のファンからも支持されましたが、時には厳しい選択を下さなければならず、悩むことも多かったようです。

アイスホッケー映画『スラップ・ショット』（1977年）にも登場し、過去のアイスホッケー界の象徴的な選手としてクローズアップされたクラッパーは、1930年代から1940年代にかけて名選手として、その名を刻んでいます。現在でも彼の活躍は多くのホッケー愛好者に語り継がれ、記憶に残る偉業として尊敬されています。

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