ディデロット

ディデロット (Didelot) は、18世紀後半のイギリスで活躍したサラブレッド競走馬です。1793年生まれの牡鹿毛で、その競走馬としての生涯は、サラブレッドの歴史に名を残す輝かしいものとなりました。

ディデロットの誕生は、フランク・スタンディッシュ準男爵の所有する牧場でした。父は名馬トランペイター(Trumpator)、その父はさらに遡りマッチェム(Matchem)という伝説的な種牡馬に繋がります。母はハイフライヤー(Highflyer)の血を引く、記録に残っていない牝馬でした。

競走馬としてのディデロットは、リチャード・プリンスという調教師の指導の下で鍛え上げられました。その競走成績の詳細は残念ながら多くは伝わっていませんが、1796年5月12日に行われた第17回ダービーステークスでの勝利は、彼の名をサラブレッドの歴史に刻み込む大きな功績となりました。

このダービーステークスには11頭の競走馬が出走し、総賞金は1470ポンドに上りました。白熱したレースの結果、ディデロットはジョン・アルヌール騎手の腕によって勝利を掴みました。2着はスティックラー(Stickler)、3着はリヴァイアサン(Leviathan)という馬でした。惜しくも優勝を逃したこれらの馬も、当時の競走界において優れた能力を持っていたことを示唆しています。具体的なオッズなどの情報は残念ながら記録に残っていません。

興味深いことに、ディデロットには前年のダービーステークスを制したスプレッドイーグル(Spread Eagle)という半兄がいました。兄弟馬が続けてダービーを制覇するという快挙は、ディデロットの血統の優秀さを証明するだけでなく、当時の競走界におけるスタンディッシュ準男爵の卓越した馬主としての力量を物語っています。

ディデロットの血統、競走成績、そして関係者といった情報は、18世紀後半のイギリスにおける競走馬の歴史、そしてサラブレッドという品種の進化を理解する上で非常に貴重な資料となります。彼の活躍は、単なる競走の勝利を超え、後の競走馬生産や競走界の発展に少なからず影響を与えたと考えられます。彼の生涯は謎に包まれた部分も多く残されていますが、ダービーステークス優勝馬という栄光は、今後もサラブレッドの歴史の中で語り継がれていくことでしょう。

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