ディラン・カスバート

ディラン・カスバート（Dylan Cuthbert）は、1972年2月18日生まれのイギリス出身のゲームプロデューサーです。彼は現在、自身の会社であるキュー・ゲームスの最高経営責任者（CEO）を務める傍ら、一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会の理事としても活動しています。

カスバートのゲーム業界でのキャリアは、1989年、17歳の時にイギリスのアルゴノート・ソフトウェアにプログラマーとして入社したことから始まりました。彼はそこで、ゲームボーイでベクターグラフィックを実現するゲームを開発し、CESに出展しました。このゲームは、その技術力と革新性から任天堂の目に留まり、権利を買い取られることになります。その結果、1990年にはアルゴノートから任天堂に出向することになり、ロンドンから京都へと拠点を移しました。このゲームは、1992年にゲームボーイ用ソフト『X』として任天堂から発売され、カスバートの名は広く知られることになります。

その後、カスバートはアルゴノートに籍を置きながらも、イギリスと日本を行き来する生活を送っていましたが、『スターフォックス』（1993年）の開発をきっかけに、任天堂の宮本茂から長期滞在を依頼され、京都に定住することになりました。この経験は、彼が日本でのゲーム開発に深く関わる大きな転換点となりました。

1994年、ソニーが発売したプレイステーションの3D技術に感銘を受けたカスバートは、アメリカのソニー・コンピュータエンターテインメント・アメリカ（SCEA）に入社し、アメリカに移住しました。SCEAでは、『Blasto』（1998年）の開発に携わります。その後、「次世代プレイステーション」の開発に関わるため、日本の東京にあるソニー・コンピュータエンターテインメント・ジャパン（SCEJ）に入社しました。1999年3月2日には、カスバートが製作した『お風呂に浮くアヒルちゃん』が「次世代プレイステーション」の技術デモとして公開され、大きな話題を呼びました。この「次世代プレイステーション」は、後に「PlayStation 2」として2000年3月に発売されました。

SCEJでは、『ピポサル2001』（2001年）を製作した後、京都への帰郷を強く望み、退職しました。そして2001年9月、京都にて自身の会社であるキュー・ゲームスを設立し、独立したゲーム開発者としての新たなスタートを切りました。

2013年には、自身が手掛ける『PixelJunk』シリーズをアピールするため、東京ゲームショウへの出展を決めました。しかし、当時の東京ゲームショウではインディー系の作品への注目度が低かったため、自社でのイベント開催を決断しました。キュー・ゲームス社員のジェームス・ミルキーの主導のもと、他のインディー系デベロッパーにも声をかけ、2013年に第1回「BitSummit」を開催しました。BitSummitの規模拡大に伴い、開催母体を社団法人化することになり、2015年には一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会が設立され、カスバートは理事に就任しました。BitSummitは、現在では日本最大級のインディーゲームイベントとして、国内外のゲーム開発者やファンに広く知られています。

カスバートは、そのキャリアを通じて、数々の革新的なゲーム開発に携わってきました。彼の代表作としては、以下のような作品が挙げられます。

X
スターフォックスシリーズ
スターフォックス
スターフォックス2
スターフォックス コマンド
スターフォックス64 3D
* bit Generations DIGIDRIVE

これらの作品は、彼の技術力と創造性を象徴するものであり、多くのゲームファンに愛されています。

ディラン・カスバートの活動は、ゲーム業界だけでなく、インディーゲームの発展にも大きく貢献しています。彼の情熱と革新的なアイデアは、今後も多くの人々に影響を与え続けることでしょう。

外部リンク
ディラン・カスバート - IMDb（英語）

もう一度検索