ディルイーヤ

ディルイーヤの概要

ディルイーヤ（アラビア語: الدرعية‎）は、サウジアラビアのリヤド郊外にある歴史深い都市で、かつてはサウード家の本拠地として知られています。1744年から1818年にかけては、第一次サウード王国の首都であり、重要な歴史的拠点となっていました。特に、ワッハーブ運動において中心的な役割を果たしたこの町は、数多くの遺跡を有し、特にトライフ地区は2010年にユネスコの世界遺産に登録されています。

地理的位置

ディルイーヤの旧市街は、ワーディー・ハニーファという狭い谷の両側に位置します。この地はリヤドの南方に広がる緑豊かな地域であり、日干しレンガを用いた伝統的な建物が数多く残っています。グサイバー、アル＝ムライベード、トライフの3つの地区があり、特にトライフ地区は高台にあり、観光客が訪れる際にもアクセスしやすいエリアです。また、旧市街の周りには庭園や農場、ヤシ林が広がっています。新市街はトライフ地区の丘のふもとに開発されており、より現代的な町の表情を見せています。

歴史的背景

ディルイーヤの歴史は15世紀にさかのぼります。都市は、王家の祖先であるマニ・アル＝ムライディにより1446年から1447年に建設されました。その後、地域の農場を管理していたイブン・ディルによって町名が与えられ、マニ一族がこの地に定住しました。18世紀頃にはムハンマド・イブン・サウードが支配者として登場し、彼はディルイーヤを拠点に第一次サウード王国を築くことになります。

1744年には、宗教指導者ムハンマド・イブン・アブドゥルワッハーブがイブン・サウードに迎え入れられ、彼の教えを広めることによって王国は成長し、ナジュド地域全体へと拡大しました。しかし、イスラームの聖地メッカとマディーナを支配することにより、オスマン帝国との衝突を引き起こし、1811年から1818年にかけて行われたオスマン＝サウジ戦争によってディルイーヤは滅亡します。

現代のディルイーヤ

王国が滅びた後、ディルイーヤは長らく廃墟となりましたが、現在ではリヤド州の一部として、新たな活気を取り戻しています。1980年代以降、サウジアラビア政府による再開発が進められ、古都の遺跡が観光地として修復されています。復元された建物には、サルワ宮殿やサアド・ビン・サウード宮殿、モハンマド・イブン・アブドゥルワッハーブのモスクなどが含まれ、歴史的価値が際立っています。

世界遺産としての意義

ディルイーヤのツライフ地区は、2009年に暫定リストに登録され、正式な推薦を受けて世界遺産に認定されました。これは、都市の独特な建築様式や文化的遺産を保全し、その普遍的価値を国際的に認めさせる試みの一部です。ディルイーヤの登録には歴史的重要性や文化的意義が評価され、アラビア半島における宗教的および政治的活動の中心地としての役割が強調されました。

まとめ

ディルイーヤは、サウジアラビアの歴史に深く根付いた都市であり、その遺跡や文化遺産は非常に貴重です。観光地としても成長を続けており、訪れる人々に多くの歴史的ストーリーを体験させています。

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