サウード家

サウード家：サウジアラビアを統べる王家の歴史と現在

サウード家は、サウジアラビアを支配する王家であり、その歴史は18世紀半ばに遡ります。アラビア半島中部ディルイーヤを拠点としたサウード家は、ワッハーブ主義を掲げる宗教指導者ムハンマド・イブン＝アブドゥルワッハーブとの同盟により勢力を拡大しました。この同盟は、サウード家に世俗的な権力を、ワッハーブ派に宗教的な正統性を提供するという互恵的な関係でした。

第一次サウード王国の成立は、この同盟の成果と言えるでしょう。ムハンマド・イブン＝サウードによる支配は、メッカとメディナを含むアラビア半島の大部分を制圧するほど強力なものとなりました。しかし、19世紀初頭、ワッハーブ主義の拡大を危惧したオスマン帝国の攻撃を受け、第一次サウード王国は滅亡します。

その後、サウード家は第二次サウード王国を建国しますが、これはナジュド地方の中小勢力にとどまりました。19世紀後半には、ラシード家との抗争に敗れ、サウード家は一時的に勢力を失います。

しかし、アブドゥルアズィーズ・イブン＝サウードの活躍により、状況は一変します。1902年、アブドゥルアズィーズはリヤドを奪還し、サウード家の復権の道を切り開きます。彼は、ラシード家との戦争を戦い抜き、勝利します。第一次世界大戦中のオスマン帝国の弱体化も、アブドゥルアズィーズにとって追い風となりました。彼は、ヒジャーズ地方を征服し、勢力範囲を拡大していきます。

1926年、アブドゥルアズィーズはナジュド及びヒジャーズ王国を建国します。そして、1932年、ついにサウジアラビア王国が建国され、アブドゥルアズィーズは初代国王に即位します。

サウード家の繁栄は、サウジアラビアの豊富な石油資源にも支えられています。石油収入は、国家の財政基盤を強化し、王家の権力基盤を盤石なものにしました。しかし、一夫多妻制による王族の人口増加は、深刻な問題を引き起こしています。王族は数千人に上り、その維持には莫大な費用がかかります。このため、経済的な格差も生じており、貧困に苦しむ王族も存在すると言われています。

王位継承問題もサウード家の大きな課題です。アブドゥルアズィーズの息子たち、そして孫たちの世代へと王位継承が移るにつれて、王位争いや権力闘争が発生する可能性が高まっています。近年は、王位継承順位の改革が行われ、第三世代のムハンマド・ビン・サルマン皇太子が後継者として選出されました。このことは、サウード家の未来を左右する重要な出来事と言えるでしょう。

現代のサウード家は、石油収入に依存した経済構造からの脱却、社会改革、そして国内の安定維持といった様々な課題に直面しています。これらの課題への対応が、サウード家の将来、ひいてはサウジアラビアの未来を決定づけることになるでしょう。サウード家の歴史と現状を理解することは、中東情勢を理解する上で非常に重要です。

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