ディートリッヒ・ローマン

ディートリッヒ・ローマン：映像の魔術師

ディートリッヒ・ローマン（Dietrich Lohmann, 1943年3月9日 - 1997年11月13日）は、ドイツを代表する撮影監督です。テューリンゲン州に生まれ、ベルリンの映画学校でその才能を開花させました。卒業後はミュンヘンの映画会社に入社し、映像の世界でのキャリアをスタートさせます。

ニュー・ジャーマン・シネマの旗手

1960年代後半、ドイツ映画界に大きな変革をもたらした「ニュー・ジャーマン・シネマ」。その中心人物であったライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の作品に、ローマンは数多く参加しました。『愛は死より冷酷』(1969)、『出稼ぎ野郎』(1969)、『悪の神々』(1969)など、初期のファスビンダー作品において、その映像表現は重要な役割を果たしました。ローマンのカメラワークは、ファスビンダーの独特な世界観を、より深く、そして鮮烈に表現することに貢献しました。

ハリウッドでの活躍

1988年、ローマンは活動の場をハリウッドへと移します。アメリカでもその才能は高く評価され、『ウェドロック』(1991)、『美しき獲物』(1992)、『愛の果てに』(1993)、『薔薇の素顔』(1994)など、数々の作品で撮影監督を務めました。国際的な作品に携わることで、その映像技術はさらに洗練され、幅広いジャンルの作品でその存在感を示しました。

早すぎる死と遺産

1997年11月13日、ローマンは白血病のため54歳という若さでこの世を去りました。しかし、彼の残した作品は、今もなお多くの映画ファンに愛され、その映像美学は後世の映画製作者たちに大きな影響を与え続けています。

主なフィルモグラフィー

サーカス小屋の芸人たち 処置なし (1967) - 撮影助手
愛は死より冷酷 (1969)
出稼ぎ野郎 (1969)
悪の神々 (1969)
何故 R氏は発作的に人を殺したか? (1969)
リオ・ダス・モルテス (1970)
ニクラスハウゼンへの旅 (1970)
アメリカの兵士 (1970)
四季を売る男 (1971)
八時間は一日にあらず (1972)
ブレーメンの自由 (1972)
エフィ・ブリースト (1974)
秋のドイツ (1978) - オムニバス作品
愛と野望のドイツ家 (1986) - テレビミニシリーズ
大脱走2 (1989) - テレビミニシリーズ
ウェドロック (1991)
美しき獲物 (1992)
愛の果てに (1993)
薔薇の素顔 (1994)
カウチ・イン・ニューヨーク (1996)
ピースメーカー (1997)
ディープ・インパクト (1998)

※印はライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作品

関連項目

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
ニュー・ジャーマン・シネマ

外部リンク

ディートリッヒ・ローマン - IMDb（英語）
Dietrich Lohmann - cinematographers.nl

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