ディートリヒ・エルトマン

ディートリヒ・エルトマン（Dietrich Erdmann、1917年7月20日 - 2009年4月22日）は、ドイツの作曲家です。

ドイツ西部の都市ボンに生を受けたエルトマンは、8歳の時に一家とともに首都ベルリンへと移り住みました。文化的素養に富む家庭環境に育ち、9歳からはピアノのレッスンを開始するなど、幼い頃より音楽に親しみました。ギムナジウム（高等学校）在学中には、すでに作曲家のハラルド・ゲンツマーや、当時のドイツ音楽界を牽引していたパウル・ヒンデミットに師事するという、恵まれた環境で専門的な音楽教育を受け始めています。また、1931年からはチェロの学習も開始し、演奏家としてのスキルも磨きました。その後の研鑽の場として選んだのは、現在のベルリン芸術大学の前身にあたるベルリン音楽大学です。ここで1934年から1938年まで学び、作曲家としての基礎を固めました。

第二次世界大戦終結後の1947年、エルトマンは教育者としての道を歩み始め、ベルリン教育大学の教壇に立ちました。教育者としての手腕は高く評価され、1954年には準教授に昇任。さらに12年後の1966年には教授の地位を得るに至りました。また、大学の運営にも深く関与し、1970年には副学長という要職を務めています。教育者としてのキャリアは長く、1982年に大学を退職するまで、後進の指導と大学の発展に尽力しました。

作曲家としては、多岐にわたる編成のための作品を手掛けました。特に、管弦楽作品や室内楽、そしてマンドリンオーケストラのための作品で知られています。その主な作品としては、以下のようなものが挙げられます。

管弦楽

チェロと小管弦楽のための協奏曲
アルト・サクソフォンと小管弦楽のための協奏曲
弦楽合奏のためのセレニタ・ノットゥルナ
管弦楽のためのスペクトルム
フルートと小管弦楽のためのコンチェルティーノ
ピアノと小管弦楽のためのコンチェルティーノ
極彩色の音楽
弦楽合奏のための音楽

室内楽

木管四重奏のための即興曲
弦楽三重奏曲
弦楽四重奏曲のための４つのスケッチ
からかい（サクソフォンの四重奏のための）
反響（サクソフォンの四重奏のための）

マンドリンオーケストラ

ディヴェルティメント
セレナータ
オーボエ、マンドリンオーケストラと打楽器のためのモヴィメンティ
ヴィオラとマンドリンオーケストラのためのコンチェルティーノ
シロフォン、メタロフォンとマンドリンオーケストラのための協奏曲

エルトマンの作品は、彼の新古典主義的な傾向を反映していると評されることがあります。教育者としても作曲家としてもドイツ音楽界に貢献した人物と言えるでしょう。

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