ディープスペースネットワーク

ディープスペースネットワーク（DSN）とは

ディープスペースネットワーク（Deep Space Network）は、NASAが深宇宙探査を支援するために設立した通信インフラの総称です。このネットワークは、特に外惑星との通信を目的としており、アメリカのジェット推進研究所（JPL）に所属しています。50年以上にわたり、地球の自転や位置にとらわれることなく、外宇宙の探査機と常に通信できる体制を整えています。

概要

DSNは、木星よりも遠い外惑星探査機を中心に、月、内惑星、地球近傍の小惑星や彗星まで、幅広い探査機との通信を行っています。通信局は地球上に120度の間隔で配置されており、低軌道の衛星通信とは異なり、広範囲にある探査機との連絡を確保しています。特に遠距離通信を行うためには、大型のアンテナと高性能な受信・送信機が不可欠です。

設置された地上局

DSNのために設立された地上局は、以下の3箇所です。

- ゴールドストーン深宇宙通信施設（カリフォルニア州、アメリカ）
- マドリード深宇宙通信施設（スペイン）
- キャンベラ深宇宙通信施設（オーストラリア）

これらの地上局は、JPLのDeep Space Operations Center (DSOC) と接続されており、ここで探査機のモニタリングと運用が行われています。

各地上局には、以下の設備が整っています：

- 26mアンテナ 1基
- 34m の高効率アンテナ 1基
- 34m ビーム導波管アンテナ 1基（ゴールドストーンに3基、マドリッドに2基、キャンベラに1基）
- 70m大型アンテナ 1基（初期は64m、後に改造）

また、2014年から2016年にはキャンベラ局に34mアンテナが新設され、運用が開始されています。

信号処理能力の向上

DSNの基本的な能力は、1990年代からあまり変わっていませんが、デジタル信号処理やエラー訂正技術の発展により、通信能力は向上しています。例えば、ボイジャー2号の海王星探査では、複数のDSNアンテナを用いて受信能力を改善する「DSN array」が導入されました。この技術は、木星探査機ガリレオからのデータ受信にも活用されています。

設立50周年

DSNは、2013年12月24日に設立50周年を迎えました。その起源は、1950年代のアメリカ陸軍が運用していたDeep Space Instrumentation Facilityにさかのぼります。1963年に、最初の通信機器を用いてマリナー2号やIMP-A、アトラス・セントール2などの探査機をサポートすることから始まり、現在では太陽系全体の探査機を24時間体制で運用しています。他にも、日本やヨーロッパ、ロシアの探査機へもDSNの通信サービスが提供されています。特に、インド初の火星探査機MOMとの通信もDSNを通じて行われています。

まとめ

ディープスペースネットワークは、NASAの宇宙探査に不可欠な基盤であり、未来の探査に向けた通信技術の進化が期待されます。

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