ディープボンド

ディープボンド：GI未勝利ながら伝説を刻んだ名馬

ディープボンド（2017年2月18日生まれ）は、日本の競走馬界において、GI級競走を制覇することなく、莫大な賞金を獲得した稀有な存在として知られています。2024年10月現在、その総獲得賞金は7億6781万5800円に達し、GI未勝利馬としては史上最高額を記録しています。その活躍ぶりと、その背景にある物語を紐解いていきましょう。

輝かしい血統と生い立ち

ディープボンドの母ゼフィランサスは、数々の活躍馬を輩出した名繁殖牝馬モガミヒメの9番仔です。モガミヒメの血統には、重賞4勝を挙げたローレルゲレイロも含まれており、その優秀な遺伝子はディープボンドにも受け継がれています。ゼフィランサス自身も、秋華賞に出走するなど、22戦3勝の実績を残しています。

ディープボンドの父はキズナです。スピードに優れた母系の血統に、キズナが持つスタミナと馬格を補うことで、理想的な配合が実現しました。北海道新冠町の村田牧場で誕生したディープボンドは、幼少期から負けん気の強い性格で知られていましたが、成長とともに落ち着きを増し、キズナの馬格とゼフィランサスの肉付きを受け継いだ体躯へと成長しました。2018年の北海道セレクションセールで前田幸治氏に落札され、その後前田晋二氏の所有馬となり、栗東トレーニングセンターの大久保龍志調教師の指導の下で鍛え上げられました。

記憶に残る数々のレース

ディープボンドの競走馬としてのキャリアは、2019年10月の京都競馬場での新馬戦デビューから始まりました。その後、2020年の京都新聞杯で重賞初勝利を挙げ、父キズナとの父子制覇を達成する快挙を成し遂げました。続く東京優駿（日本ダービー）では5着、菊花賞では4着と、クラシックレースでは惜しくも勝利を逃しましたが、その実力を見せつけました。

2021年は、阪神大賞典で圧勝し重賞2勝目を飾ると、続く天皇賞（春）では2着。その後、フランス遠征を行い、フォワ賞を制覇し、日本調教馬としてはオルフェーヴル以来の快挙を達成しました。しかし、凱旋門賞では14着と結果を残せませんでした。年末の有馬記念では2着と健闘を見せました。

2022年も阪神大賞典を連覇するなど活躍を続けましたが、天皇賞（春）では2着、凱旋門賞でも14着に終わりました。有馬記念でも8着と、思うような結果を残せずシーズンを終えました。2023年は阪神大賞典5着、天皇賞（春）2着と、GI未勝利ながら高い競争力を示し続けました。

愛称と人気

ディープボンドは、厩舎スタッフからは「ボンド」、ファンからは「プボくん」という愛称で親しまれており、その人気は高く、多くのファンを魅了し続けています。

まとめ

ディープボンドは、GIタイトルこそ逃したものの、数々の重賞勝利と莫大な獲得賞金によって、その名を競走馬史に刻み込みました。その血統、成長過程、そしてレースでのパフォーマンスは、多くの競馬ファンに感動と興奮を与え続け、日本競馬界に大きな足跡を残したと言えるでしょう。 その活躍は、将来の種牡馬としての成功にも期待が持たれる所以となっています。 彼の物語は、才能と努力、そして時として結果に恵まれないという、競走馬人生のドラマを凝縮したものです。

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