ローレルゲレイロ

ローレルゲレイロ：最強の1勝馬からJRA最優秀短距離馬へ

ローレルゲレイロ(2004年5月3日生まれ)は、2009年のJRA賞最優秀短距離馬に輝いた競走馬であり、種牡馬としてその血脈を受け継いでいます。本稿では、彼の華々しい競走生活と、その背景にある数々のドラマを紐解きます。

始まり：村田牧場とビッグテンビー

ローレルゲレイロの誕生には、北海道新冠町の老舗牧場、村田牧場の歴史が深く関わっています。1930年創業の村田牧場は、1989年に競走馬生産に本格的に取り組み始めました。その礎を築いたのが、岩手競馬を経て中央競馬で活躍したユキノビジンです。桜花賞とオークスで2着に入るなど活躍を見せたものの、GIタイトルには届かず、その後繁殖牝馬として期待されたものの産駒は振るいませんでした。

そんな村田牧場にとって、ビッグテンビーは大きな期待を担う存在でした。父テンビー、母モガミヒメという血統を持つビッグテンビーは、高い能力を秘めていましたが、故障に苦しみ、4戦1勝という成績で引退します。しかし、村田牧場はビッグテンビーを繁殖牝馬として残し、その産駒に懸ける思いを託しました。

ビッグテンビーの初仔となるローレルゲレイロの父に選ばれたのは、キングヘイローです。キングヘイローは、GI競走11勝という輝かしい血統を持つものの、クラシックでは無冠に終わっていました。しかし、2000年の高松宮記念を制し、GIホースの称号を得た名馬です。

幼駒時代：昆貢調教師との出会い

2004年5月3日、ローレルゲレイロは村田牧場で誕生しました。栗東トレーニングセンターの昆貢調教師は、村田牧場を度々訪れていましたが、当初は小さなローレルゲレイロに注目していませんでした。しかし、徐々にその潜在能力に気づき、ローレルゲレイロの育成に乗り出します。

馬主探しに苦戦しましたが、最終的にローレルレーシングが所有することになり、競走馬としての道を歩み始めることになりました。

競走馬時代：最強の1勝馬からの飛躍

2006年6月、ローレルゲレイロはデビュー戦で圧勝。しかし、その後は重賞で2着を繰り返すも、なかなか勝利を掴むことができず、「最強の1勝馬」と呼ばれていました。

4歳になった2008年、東京新聞杯で1年半ぶりの勝利を挙げると、阪急杯でも勝利し、重賞2連勝を達成します。高松宮記念にも参戦するも、骨折で長期離脱を余儀なくされます。

5歳になった2009年、高松宮記念では、見事逃げ切り勝ちでGI初制覇を果たします。父キングヘイローに続いての父仔制覇という快挙であり、ローレルレーシングと村田牧場にとって初のGI勝利となりました。

その後、スプリンターズステークスでも、ビービーガルダンとの1センチ差という最小着差での勝利を収め、同一年のJRAスプリントGIを制覇する快挙を達成しました。この活躍により、2009年のJRA賞最優秀短距離馬に選出されました。

種牡馬時代とその後

2010年に競走馬を引退したローレルゲレイロは、父キングヘイローと同じ優駿スタリオンステーションで種牡馬となりました。地方競馬で活躍する産駒を輩出し、その血統は現在も受け継がれています。

ローレルゲレイロの物語は、小さな牧場から誕生した一頭の競走馬が、数々の困難を乗り越え、頂点に到達するまでの壮大なドラマです。彼の活躍は、日本の競馬史に永遠に刻まれるでしょう。

参考文献

本文中には、『優駿』誌の記事等を複数参照しています。

もう一度検索