ディー・ディー・エス

株式会社ディー・ディー・エス

株式会社ディー・ディー・エスは、愛知県名古屋市に拠点を構える生体認証技術の専門企業です。主に生体認証機器の開発や製造、関連ソフトウェアの提供を手掛けています。

同社の歴史は1992年の創業に始まり、1998年1月1日に組織改編を経て現在の「株式会社ディー・ディー・エス」が設立されました。2001年には新事業創出促進法の認定企業に選ばれるなど、創業期から革新的な取り組みが評価されてきました。事業の拡大に伴い、本社は名古屋市内で数回の移転を経て、2005年11月28日には東京証券取引所マザーズ市場への株式上場を果たしました。

テクノロジー面では、2014年4月に日本の企業として初めてFIDO Allianceに加盟するなど、認証技術の国際標準化にも積極的に関与してきました。

しかし、同社は2022年以降、企業運営において重大な局面を迎えることとなります。2022年5月12日、決算発表の延期を発表すると同時に、新たな関連当事者および関連当事者取引の存在が確認されたため、その調査を目的とした第三者委員会の設置を公表しました。その後の調査報告書によって、当時の代表取締役会長であった人物による不適切な会計処理や、過去の決算期において実際は赤字であったにも関わらず黒字として開示し、継続企業の前提に関する記載を不適切に解消していた事実などが明らかになりました。

これらの問題を受け、2022年9月29日、東京証券取引所は同社株式を特設注意市場銘柄に指定しました。これに伴い、2022年10月5日には東証マザーズ指数からも除外され、上場維持基準における経過措置も適用対象外となりました。

事態はさらに深刻化し、2023年3月29日には、グロース市場の上場維持基準である時価総額基準を満たしていないことが確認され、改善期間入りが指定されました。これにより、同社は特設注意市場銘柄指定と上場維持基準不適合という二つの上場廃止基準に抵触する状態に陥りました。また、信頼回復に向けた取り組みとして、2023年3月30日には会計監査人の変更を実施しています。

2023年5月15日、同社は過去の有価証券報告書および四半期報告書の再訂正を行い提出しましたが、この訂正報告書の作成過程において、当時の経営陣が虚偽記載のリスクを認識しながら提出した可能性や、その後の改善計画にこの問題に関する言及や評価が欠けていることが明らかとなりました。これを受け、東京証券取引所は同社を「内部管理体制等について改善の見込みがなくなったおそれがある」として、監理銘柄（審査中）に指定しました。

そして2023年7月3日、東京証券取引所は、同社の内部管理体制に改善の見込みがないと判断し、上場廃止を決定しました。その理由として、虚偽記載リスクの高い訂正報告書提出という一連の行為に対する改善計画での言及不足、原因究明や再発防止策の不十分さ、さらには問題行為に関与した経営陣が引き続き改善計画を主導する姿勢を示していたことなどが挙げられました。この決定により、株式会社ディー・ディー・エスは2023年8月4日をもって東京証券取引所を上場廃止となりました。これは特設注意市場銘柄指定からの上場廃止としては、過去最短の期間での事例となりました。上場廃止同日には、証券取引等監視委員会が同社に対し、金融商品取引法違反の疑いで課徴金納付の勧告を行っています。

上場廃止後も経営体制の変動は続き、2023年11月には当時の代表取締役社長が辞任し、経営管理部部長が後任社長に就任しました。前社長は会長職に退きましたが、2024年2月にはその会長職も辞任しました。

2024年3月28日に開催された上場廃止後初の株主総会では、会社側が提案した議案の多くが否決される一方、株主側からの取締役および監査役の選任議案が可決されるという異例の展開となりました。これにより、新たな代表取締役が就任し、従前の社長は取締役として降格となりました。

同社の主な製品としては、以下のものが挙げられます。

ソフトウェア
多要素認証統合プラットフォーム
大規模向け指紋認証ソリューション
中小規模向け指紋認証ソリューション
ハードウェア
UBF指紋認証ユニット

事業所は本社（愛知県名古屋市）、東京支社（東京都品川区）に加え、韓国にも法人（DDS Korea, Inc.）を置いています。

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