デイリー・スター (バングラデシュ)

『ザ・デイリー・スター』の概要

『ザ・デイリー・スター』は、バングラデシュで最も発行部数が多い英字の日刊新聞です。1991年1月14日にサイド・モハンマド・アリによって設立されたこの新聞は、バングラデシュが議会制民主主義を回復した年に創刊され、政治的な問題や腐敗、外交などについて率直な報道を行うことで瞬く間に人気を博しました。特に、同紙は「ジャーナリズムの力量とリベラルで進歩的な見解」で評価され、バングラデシュにおける記録を担う新聞とされています。スローガン「Journalism Without Fear or Favour（何事も恐れず、媚もしないジャーナリズム）」は、同紙の立場を象徴しています。

歴史的背景

『ザ・デイリー・スター』の創刊は、1980年代後半に遡ります。当時、サイド・モハンマド・アリとマーフズ・アナムはバンコクで新たな英字新聞の設立を企画しました。アリは、タイの『バンコック・ポスト』や香港の『英文虎報』で編集長を務めた経験があり、アナムはUNESCOでの職務を経て、アリの計画に加わりました。彼らはバングラデシュの主要な出資者から資金を集め、1991年に新聞を創刊しました。この年は、15年間の軍事政権が終わり、民主主義が戻った年でもありました。

創刊後、同紙はシェイク・ハシナとカレダ・ジアの対立を鮮やかに報道し、読者の支持を得ていきました。特に、ダッカやチッタゴンの都市部において、エリート層や実業家、外交官の間で高い人気を誇るようになりました。

編集体制とスタッフ

現在の編集長はマーフズ・アナムが務め、多様な編集を行っています。アナムは編集権の独立を保つことに成功しており、役員会が財務面を監視しています。また、オピニオンセクションを担当するアーシャ・メーレーン・アミンは、以前の編集者から昇任され、社説において極めて批判的な視点を持つことが特徴です。

論争と課題

『ザ・デイリー・スター』は、バングラデシュにおけるプレスの自由が脅かされている状況に警鐘を鳴らし続けています。政府からの圧力が高まる中でも、同紙は独立した報道を続けるべく奮闘しています。PENアメリカによると、アナムには83件の訴訟が提起されており、特にアワミ連盟やその支持者たちからの名誉毀損訴訟が目立っています。過去には、バングラデシュ民族主義党の指導者からも訴訟を受けたことがあります。

2016年、アナムは同紙が過去に軍による情報を基に記事を執筆していたことを認め、これが政治の透明性を確保するために重要であると述べました。

また、2018年には、緊急行動部隊による超法規的殺害を報じた後、同紙のウェブサイトがブロックされる事態が発生しました。この種の状況は、政府の情報統制を象徴する出来事として報じられています。

結論

『ザ・デイリー・スター』は、バングラデシュにおける重要なメディアの一つであり、政治や社会に対して影響力のある報道を提供し続けています。批判的な意見を自由に表現し、公共の関心を引きつける役割を果たしていると同時に、独立したジャーナリズムの維持に努めています。

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