デイヴ・デイヴィス

デイヴ・デイヴィス：キンクスのギタリスト、その音楽性と生涯

デイヴ・デイヴィス（Dave Davies、1947年2月3日 - ）は、イギリスのシンガーソングライター、ギタリストであり、伝説的ロックバンド、キンクスの創設メンバーの一人です。兄のレイ・デイヴィスと共に、キンクスを世界的な成功に導きました。デイヴは、その革新的なギターサウンドと、時折見せるリードボーカルや作曲の才能で、バンドに不可欠な存在でした。

生い立ちと音楽への目覚め

ロンドン北部のマスウェル・ヒルで生まれたデイヴは、大家族の末っ子として育ちました。兄のレイとの間には、幼い頃から音楽的なライバル関係がありましたが、それが互いを高め合う原動力にもなりました。様々な音楽ジャンルに触れる中で、スキッフルからロックンロールへと興味を移し、エレクトリックギターを手にして独自のサウンドを追求し始めました。兄弟と友人たちは、家のリビングで頻繁にジャムセッションを行い、それが後のキンクスの音楽的基盤となりました。1964年の大ヒット曲「ユー・リアリー・ガット・ミー」の有名なリフは、このリビングのピアノで生まれたと言われています。

キンクスでの活躍

1963年、デイヴはピート・クウェイフと共にキンクスを結成し、兄のレイが加入してバンドは本格的に活動を開始しました。ドラマーのミック・エイヴォリーが加わり、初期のラインナップが完成します。レイがバンドのリーダーシップを握る一方で、デイヴはギタリストとして、キンクスのサウンドを特徴づける重要な役割を果たしました。しかし、ミック・エイヴォリーとの関係は険悪になり、短期間同居していたにもかかわらず、後にエイヴォリーはバンドを脱退することになります。

デイヴは「パーティ・ライン」や「道化師の死」など、いくつかの楽曲でリードボーカルやソングライティングも担当しました。特に「ユー・リアリー・ガット・ミー」で聴ける、スピーカーコーンを切り裂いて作り出したディストーションサウンドは、音楽史に残る革新的なもので、後のヘヴィメタルやパンクロックに多大な影響を与えました。この曲は、当初レコード会社に評価されなかったものの、バンドを代表する大ヒットとなり、彼らのキャリアを決定づけました。

しかし、1965年にはカーディフでのライブ中にミック・エイヴォリーとの間で乱闘事件を起こし、デイヴィスは頭部を負傷するという事件も起こりました。

1960年代後半になると、レイのソングライティングスキルが向上し、キンクスの音楽性はより内省的でノスタルジックなものへと変化していきました。「オータム・オルマナック」や「ウォータールー・サンセット」などの名曲が生まれ、アルバム『サムシング・エルス』や『ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』で独自の音楽世界を確立しました。

ソロ活動とその後

1967年、デイヴは初のソロシングル「Death of a Clown」をリリースし、全英チャートで3位を獲得するヒットとなりました。その後もソロアルバムの制作を試みましたが、様々な事情により実現には至りませんでした。しかし、2011年には未発表曲を集めたコンピレーションアルバム『Hidden Treasures』がリリースされ、彼のソロ作品に対する関心が高まりました。

1970年代に入ると、キンクスは「ローラ」などのヒット曲で再び注目を集めましたが、その後は演劇的な要素を取り入れたコンセプトアルバムを制作し、評価が分かれる結果となりました。1980年代には、MTV文化を取り入れた商業的なアプローチを試み、「カム・ダンシング」などのヒット曲を生み出しました。しかし、バンドの人気は徐々に衰え、1996年に活動を休止しました。その後、レイとデイヴは2015年に再会し、ステージで共演を果たしました。

デイヴは、2002年に20年ぶりのソロスタジオアルバム『バグ』をリリースし、その後も精力的にソロ活動を展開しています。2004年には心臓発作で倒れましたが、リハビリを経て音楽活動を再開し、2013年にはアルバム『I Will Be Me』をリリースしました。2014年には、キンクスの50周年を記念したアルバム『リッピン・アップ・タイム』を発表し、精力的な活動を続けています。

使用楽器と音楽への影響

デイヴ・デイヴィスは、ギブソン・フライングVを愛用することで知られています。また、ギブソン・レスポールやフェンダー・テレキャスターなど、様々なギターを演奏してきました。彼の革新的なギターサウンドは、多くのミュージシャンに影響を与え、ロック音楽の歴史に大きな足跡を残しました。

デイヴ・デイヴィスは、キンクスのギタリストとしてだけでなく、ソロアーティストとしても独自の音楽性を追求し、常に進化を続けています。彼の音楽は、世代を超えて多くの人々に愛され、影響を与え続けています。

* 2003年、『ローリング・ストーン』誌の「史上最高のギタリスト100人」で91位にランクイン。

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