デイヴ・バーソロミュー

デイヴ・バーソロミューは、20世紀後半のアメリカ音楽史、特にニューオーリンズの音楽シーンにおいて極めて重要な人物です。ルイジアナ州に生まれ（1918年）、100年の生涯を音楽に捧げました（2019年没）。彼は単なる演奏家にとどまらず、作曲家、編曲家、バンドリーダー、プロデューサー、そしてタレントスカウトとしても活躍し、その多岐にわたる才能を通じて、1950年代以降のリズム・アンド・ブルースや初期のロックンロールの発展に不可欠な役割を果たしました。

バーソロミューの音楽性は非常に幅広く、そのキャリアを通じてリズム・アンド・ブルース、ビッグバンド、スウィング・ジャズ、ロックンロール、さらには故郷ニューオーリンズの伝統的なジャズスタイルであるディキシーランド・ジャズに至るまで、様々なジャンルで才能を発揮しました。彼の音楽は、これらの多様なスタイルを融合させ、ニューオーリンズ特有のグルーヴを生み出す源泉となりました。

彼のキャリアの中で最も成功を収めたのは、ピアニスト兼歌手であるファッツ・ドミノとのパートナーシップです。二人は1950年代にインペリアル・レコードで活動を共にし、40曲を超える全米ヒット曲を生み出しました。「I'm in Love Again」、「Blue Monday」、「I'm Walkin'」といった代表曲に加え、「Goin' Home」や「Ain't That a Shame」など、ビルボードR&Bチャートの首位に輝いた楽曲も複数あります。バーソロミューは、これらの名曲の多くにおいて、卓越した編曲手腕を発揮しました。

音楽家としての第一歩はチューバからでしたが、すぐにトランペットをメイン楽器とするようになりました。プロのキャリアは、ニューオーリンズでアルヴィン・"レッド"・タイラー、アール・パーマー、リー・アレンといった著名なミュージシャンと共に自身のバンドを結成したことから始まりました。

1947年にはデラックス・レコードで初のレコーディングを行いますが、このレーベルは間もなく倒産し、大きな成果には繋がりませんでした。転機が訪れたのは1949年、ルー・チャッドが設立したインペリアル・レコードに、編曲家、バンドリーダー、タレントスカウトとして参加したことです。ここで彼はプロデューサーとしても手腕を発揮し、アール・キング、トミー・リッジリー、ロバート・パーカー、フランキー・フォード、クリス・ケナー、スマイリー・ルイス、シャーリー＆リー、そして前述のファッツ・ドミノといった、多くのアーティストのヒット曲制作に貢献しました。特にファッツ・ドミノのヒット曲群、例えば「Blueberry Hill」の編曲なども彼の手によるものです。

1960年代半ばにインペリアル・レコードを離れた後も、バーソロミューは活動を続けました。自身の出身地ニューオーリンズのブロードムア地区にちなんで名付けたブロードムア・レコードをはじめ、いくつかのレーベルで作品を発表しました。晩年になってもその情熱は衰えることなく、ニューオーリンズの有名なライブ会場であるプリザベーション・ホールでトラディショナル・ジャズを演奏するなど、精力的に音楽活動を続けました。また、自身の名義でのレコーディングも継続的にリリースしていました。

デイヴ・バーソロミューは、1950年代におけるニューオーリンズ独特の音楽スタイル、いわゆる「ニューオーリンズ・サウンド」の確立に中心的な役割を果たしました。彼の革新的なアレンジとプロダクションは、ジャンプ・ブルースやビッグバンド・スウィングといった既存のスタイルが、その後のリズム・アンド・ブルースやロックンロールへと進化していく過程において、推進力となりました。また、プロデューサーとして、ロイド・プライスの「Lawdy Miss Clawdy」、スマイリー・ルイスの「I Hear You Knocking」や「One Night」、シャーリー＆リーの「Let the Good Times Roll」など、現在も語り継がれる数多くの名曲を世に送り出しました。

長年の功績が認められ、彼はソングライターの殿堂とロックの殿堂、両方に名を連ねています。

デイヴ・バーソロミューは、2019年6月23日朝、ニューオーリンズ郊外の病院にて、心不全のため100歳でその波乱に富んだ生涯を終えました。しかし、彼が音楽界に残した功績は計り知れず、今なお多くの音楽家に影響を与え続けています。

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