デグー

デグー：知的な小型齧歯類の魅力と生態

デグー(Octodon degus)は、チリ原産の小型齧歯類です。愛らしい容姿と高い知能で、近年ペットとしての人気が急上昇しています。野生では標高の高い山岳地帯に生息し、草や樹皮、種子、果実などを食べて生活しています。

生態：優れた感覚と社会性

デグーの体長は尻尾を除いて12～20cm、体重は350gほどです。寿命は5～8年と比較的長寿です。生まれたばかりの頃は白い切歯が、生後6ヶ月頃にはオレンジ色に変化します。毛色はアグーチ色（茶褐色）が一般的ですが、ブルー、ブラック、ホワイト、サンド、パイド（斑）など、様々な色変種も存在します。

野生環境下では、高い跳躍力と優れた聴覚、視覚を駆使して生活しています。視力はラットやハムスターよりも優れており、二色型色覚を持つとされています。特に特徴的なのは紫外線反射光を見ることができる点です。新鮮な尿は古い尿よりも紫外線を強く反射するため、デグーは視覚的に縄張りを認識できると考えられています。嗅覚は他の齧歯類と比べて突出して優れたものではありません。そのため、高所に登って周囲を警戒する習性があります。

清潔好きで、定期的に砂浴びをします。糞尿の臭いや体臭はほとんど気になりません。トイレの概念は薄く、巣の入り口などに排泄する習性が見られます。

食性は完全な草食性で、モルモットと同じく体内でビタミンCを生成できません。野生では粗食に耐える性質を持っており、牧草と水だけで生活することも可能です。しかし、糖分の代謝が苦手なので、栄養過多の餌は糖尿病のリスクを高めます。

知能とコミュニケーション

デグーは、小型齧歯類としては非常に高い知能を持ち、人間の3歳児並みの知能を持つと言われています。15種類以上の鳴き声でコミュニケーションを取り、集中力や学習能力も高く、簡単な芸を覚えさせることも可能です。

ペットとしてのデグー

ヨーロッパでは古くからペットとして人気があり、近年日本でも飼育者が増えています。好奇心旺盛で社会性が高いため、同サイズのハムスターやリスよりも人に懐きやすいです。飼い主への信頼を示す行動はラットに似ており、マッサージを好みます。しかし、学習能力が高い分、嫌な経験は記憶に残ってしまうため、信頼関係を築くには根気強い飼育が必要です。様々な鳴き声で感情表現を行い、飼い主とのコミュニケーションに役立ちます。

他の齧歯類とコミュニケーションをとろうとすることもありますが、多くの齧歯類はデグーよりも知能が低く、単独行動を好むため、攻撃される可能性もあります。デグーを飼育する際には、これらの性質を理解し、適切な環境とコミュニケーションを心がけることが大切です。

飼育のポイント

デグーの飼育には、適切なケージ、餌、そして清潔な環境が不可欠です。ビタミンCを補給する必要がありますので、市販のペレットや新鮮な野菜、果物などをバランスよく与えましょう。また、定期的な砂浴びも健康維持に重要です。デグーは繊細な面も持ち合わせているため、ストレスを与えないように注意が必要です。

デグーの飼育は、その知性と愛らしさ、そして独特の生態に触れることができる、魅力的な体験となるでしょう。適切な知識と愛情を持って接することで、デグーとの豊かな時間を過ごすことができます。

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