デゲッシュ (企業)

デゲシュ (Degesch) とツィクロンB：ナチス・ドイツの絶滅政策における役割

デゲシュ（Deutsche Gesellschaft für Schädlingsbekämpfung mbH）は、ドイツの化学企業であり、殺虫剤ツィクロンBの製造で知られています。この企業は、テシュ・アンド・スタベノウ社（Testa）やHeerdt-Linger(Heli) 社を通じて、ナチス・ドイツの軍や親衛隊に製品を販売していました。特に、第二次世界大戦中にナチス・ドイツが絶滅収容所で使用した大量殺戮兵器との関連で、その名が深く刻まれています。

ツィクロンBとは

ツィクロンBは、当初は害虫駆除剤として開発されました。しかし、ナチス・ドイツはこれをユダヤ人、ロマ人、障害者などをガス室で殺害するために利用しました。この事実は、ホロコーストの中でも特に悲劇的な側面を象徴しています。

歴史

1919年： フリッツ・ハーバー（ノーベル化学賞受賞者）を代表としてデゲシュが設立。
1922年： ツィクロンBの製法に関する特許を申請。製造はデッサウ製糖工場に委託され、1924年に認可を得て生産が開始。
1930年： IG・ファルベン社が30％の資本参加。1936年にはその比率が42.5％に増加。
1947年： IG・ファルベン社裁判において、クルト・ゲルシュタイン（ナチス・ドイツ武装親衛隊衛生学研究所所員）から、ドイツ軍が使用するための無臭ツィクロンBの製造依頼が、デゲシュ代表のDr. Gerhard Friedrich Petersに対して行われる。Dr. Petersは戦争犯罪に関与したと見なされる。
1948年2月： 1939年から1945年の間に取締役員長を務めていたHermann Schlosserが逮捕。
1948年4月： Hermann Schlosserが釈放。
1949年： Dr. Gerhard Friedrich Petersが殺人罪で懲役5年の告訴。
1952年： Dr. Gerhard Friedrich Petersに懲役6年の有罪判決。
1953年： Dr. Gerhard Friedrich Petersが出所。法律改正により殺人幇助と見なされなくなる。
1986年： Detia Freyberg GmbH (Detia-Degesch GmbH ) に売却。

戦後の裁判と責任

第二次世界大戦後、デゲシュの関係者は戦争犯罪への関与を問われました。特に、Dr. Gerhard Friedrich Petersは、無臭ツィクロンBの製造に関与したことで殺人罪に問われましたが、後の法律改正により殺人幇助と見なされなくなりました。

現在

デゲシュは1986年にDetia Freyberg GmbHに売却され、Detia-Degesch GmbHとなりました。現在も事業を継続していますが、過去の歴史は決して忘れてはならない教訓として、深く心に刻まれています。

関連事項

IG・ファルベンインドゥストリー
ナチス・ドイツ

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