デズフール

デズフール：古代の橋と激戦の歴史を刻むイランの都市

デズフール（Dezful）は、イランのフーゼスターン州に位置する都市であり、その歴史は古代文明にまで遡ります。都市の名前は「砦」を意味する「diz」と「橋」を意味する「pul」に由来し、「砦に向かう橋」または「砦にされた橋」という意味を持っています。

歴史

この地の歴史は古く、市内には紀元300年に遡る橋が残っています。この橋は全長410メートルで、サーサーン朝ペルシアのシャープール1世の時代に、ローマ帝国の捕虜を動員して建設されました。現代の橋の下には、かつての橋脚の遺構が残されており、歴史の重みを感じさせます。

イスラム教徒によるペルシア征服以前はディズプールと呼ばれていましたが、征服後にデズフールと改められました。

イラン・イラク戦争

デズフールは、イラクとの国境からわずか100キロメートルほどの距離に位置するため、イラン・イラク戦争（1980年 - 1988年）では激戦地となりました。開戦当初はイラク軍の侵攻により一時陥落しましたが、イラン軍は1982年春に奪還に成功しました。しかし、その後も戦争期間中はイラクからのミサイル攻撃や空襲が繰り返され、大きな被害を受けました。停戦後、国連停戦監視団が国境周辺に展開した際には、デズフールに地方本部が置かれました。

地理と気候

デズフールは、ザグロス山脈の南方に位置し、市街地の大部分はデズ川の左岸（南東岸）にあります。デズ川の右岸には、イラン縦貫鉄道の駅やデズフール空港があります。デズフールから上流へ30キロメートルほどの場所には、イラン最大のダムであるデズ・ダムがあります。このダムは1962年に完成し、発電や農業用水として利用されています。ダムの完成以降、デズフール周辺では穀物や綿花の栽培が盛んになりました。

気候は高温ステップ気候（ケッペンの気候区分：BSh）に属し、夏は非常に暑く、冬は穏やかです。降水量はイラン南部の中では多い方で、主に11月から4月の間に集中しており、年間降水量は約600ミリメートルに達します。

姉妹都市

レバノン ティルス

関連項目

デズフールの戦い

デズフールは、古代からの歴史と、戦争の傷跡を残す都市ですが、人々の不屈の精神と復興への努力によって、新たな発展を遂げようとしています。

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