デトロイト暴動 (1967年)

デトロイト暴動（1967年）：アメリカ社会に刻まれた傷跡

1967年7月23日から27日にかけて、アメリカ合衆国ミシガン州デトロイトで発生した大規模な暴動、通称「デトロイト暴動」。別名「12番街暴動」としても知られるこの事件は、単なる騒乱という枠を超え、アメリカ社会における根深い人種差別や貧困問題を浮き彫りにしました。

暴動の勃発と拡大

1967年7月23日、アフリカ系アメリカ人が多く居住する地域で、警察と住民との間で小競り合いが発生しました。この小さな衝突が瞬く間に拡大し、数千人規模の群衆が暴徒化。市内の商店を襲撃し、略奪や放火を繰り返しながら、警察官隊に攻撃を始めたのです。事態を重く見たミシガン州知事ジョージ・ロムニーは、州兵を出動させるとともに、市内には外出禁止令が発令されました。しかし、その日だけで150人もの逮捕者が出たにもかかわらず、暴動は鎮静化するどころか、さらに激化の一途をたどりました。

連邦軍の投入と沈静化

事態を打開するため、リンドン・ジョンソン大統領は同年7月25日、ついに連邦軍の投入を決断します。約1800人の落下傘部隊が市内に投入されると、ようやく暴動は沈静化へと向かいました。しかし、5日間にわたる暴動は、デトロイトの街に深い傷跡を残しました。

甚大な被害と影響

最終的に、この暴動によって43人が死亡、1189人が負傷するという甚大な被害が発生しました。デトロイトでは1943年にも暴動が発生していましたが、今回の暴動はその規模をはるかに上回るものでした。この事件以降、デトロイトの自動車産業は、コストパフォーマンスに優れた日本車の台頭という逆風にもさらされ、衰退の一途をたどります。また、白人層の人口流出が加速し、デトロイトの都市構造は大きく変貌を遂げることとなりました。

暴動の背景

デトロイト暴動の背景には、長年にわたる人種差別や貧困問題がありました。アフリカ系アメリカ人は、雇用や住宅において差別的な扱いを受け、社会的に疎外された状況に置かれていました。また、都市部のスラム化も進行し、不満を抱えた住民が鬱積していたことも、暴動の大きな要因となりました。

暴動が残した教訓

デトロイト暴動は、アメリカ社会における人種問題の根深さを改めて浮き彫りにしました。この事件を教訓に、アメリカ社会は差別解消に向けた取り組みを強化していく必要に迫られました。また、都市部の貧困問題に対する対策も急務となり、様々な社会政策が実施されることとなりました。

関連項目

デトロイト市警察
アルジェ・モーテル事件

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