デニズリ県

デニズリ県は、トルコ西部のエーゲ海地方に位置する県で、県都はデニズリ市です。この県は、北はウシャク県、東はアフィヨン県とブルドゥル県、南はムーラ県、西はアイドゥン県とマニサ県に囲まれています。1990年から2006年の間に約13万人も人口が増加しており、発展を続けている地域です。

下位自治体

デニズリ県には、アジュパヤム、ババダー、バックラン、ベキッリ、ベヤアチュ、ボズクルト、ブルダン、チャル、チャメリ、チャルダク、チヴリル、ギュネイ、ホナズ、カレ、メルケゼフェンディ、パムッカレ、サライキョイ、セリンヒサール、タヴァスの19の地区があります。これらの地区は、それぞれ異なる特徴を持ち、県の多様性を形成しています。

地理

デニズリ県の地形は約30%が平坦地、25%が台地で、残りは山地です。県内最高峰はホナズ山で、標高は2571mに達し、アナトリア西部でもっとも高い山です。最大の湖であるアジュギョル湖はアルカリ性が高く、硫酸ナトリウムが生産されています。また、サライキョイ西部には、炭酸水素イオンと硫酸塩を含む温泉が湧き出ており、メンデレス川の源流と考えられています。キズルデレの温泉では、温度が200℃に達する場所もあります。この地域の地熱エネルギーは1965年に発見され、現在では発電に利用されています。

気候

エーゲ海地方は一般的に温暖な気候ですが、デニズリ県は標高差により気候が変化します。夏は40℃近くまで気温が上昇し、冬は-10℃まで下がることもあります。年間降水日数は約80日で、その多くが冬に集中します。そのため、夏は乾燥し、冬は比較的雨が多いという特徴があります。

歴史

古代

デニズリ県には、古代からの足跡が数多く残っています。前ヒッタイト時代やヒッタイト時代の文化遺跡が発見されており、その後、フリギア、リディア、ペルシャなどの支配を受けました。ギリシャ時代、アレクサンダー大王時代には、都市が建設されました。特に、アンティオコス2世が妻ラオディケのために建設したリュコスのラオディキアは、デニズリの北6kmに位置しています。また、ヒエラポリスはペルガモン王国が建設し、石灰の歩廊とパムッカレのプールは、その時代に作られたと考えられています。ラオディキアとヒエラポリスはその後ローマ帝国の支配下に入り、395年のローマ分割後は、東ローマ帝国の東部国境の一部となりました。

キリスト教時代

ヨハネの黙示録には、福音記者ヨハネがパトモス島で啓示を受けた際、ラオディキアの教会にもメッセージを送るよう指示されたと記されています。ラオディキアは初期キリスト教の重要な場所の一つであり、現在もキリスト教徒が訪れています。しかし、東ローマ帝国時代にはその大部分が失われました。

トルコ時代

トルコ人が初めてデニズリに現れたのは1070年頃で、セルジューク朝のアルプ・アルスラーン治世下でした。この地域は、十字軍との戦いの舞台にもなり、その後トルコ人によって支配が確立されました。古代都市の近くに新たな都市が建設され、ラオディキアは徐々にラディク、トングズル、ドヌズルと名前を変え、最終的にデニズリと呼ばれるようになりました。オスマン帝国時代には、ヤタガンと呼ばれる刀剣の産地として知られるようになりました。第一次世界大戦後、1919年にはギリシャ軍がイズミールに上陸し、デニズリはトルコ抵抗運動の初期の中心地となりました。トルコ軍はメンデレス川に防衛線を築き、ギリシャ軍を撃退しました。2012年、デニズリ県全体がデニズリ大都市自治体に指定され、旧デニズリ市はメルケゼフェンディとパムッカレに分割されました。

観光名所

デニズリの北約20kmには、世界遺産のヒエラポリスとパムッカレがあります。古代都市の遺跡と、石灰棚の景観は多くの観光客を魅了しています。その他にも、以下の名所があります。

ラオディキア：デニズリの北6kmにある遺跡
セルジューク朝のキャラバン宿：デニズリからアンカラ高速道路沿いにある
フィリギアのトリポリ：ブルダン近郊にある遺跡
ホナズのコロッセオ：古代ローマ時代の遺跡
ÇivrilのBeycehöyük：紀元前3000年に遡る出土品がある遺跡
ÇardakのHanabat Caravanserai：セルジューク朝時代のキャラバン宿
* Ahmetli橋：ローマ時代からメンデレス川を渡る橋

特産物

デニズリ鶏

デニズリ県は、デニズリ鶏という独自の鶏の品種で知られています。この鶏は、独特の鳴き声と美しい外観を持っており、政府や地元の養鶏家によって保存活動が行われています。黒い目、灰黒色の足、長い首、赤いトサカが特徴で、体重は約3.5kgです。

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