デビッド・パッカード

デビッド・パッカード：HP共同創業者、技術と慈善の先駆者

デビッド・パッカード（David Packard, 1912年9月7日 - 1996年3月26日）は、アメリカの工学者、実業家であり、ウィリアム・ヒューレットと共にヒューレット・パッカード（HP）を創業したことで知られています。彼の技術に対する深い知識と卓越した経営手腕は、HPを世界的な企業へと成長させる原動力となりました。

生い立ちと初期のキャリア

コロラド州プエブロで生まれたパッカードは、幼い頃から科学に対する強い興味を持ち、様々な模型や実験装置を自作していました。12歳で真空管ラジオを組み立て、高校時代にはアマチュア無線局を開設するなど、その才能は早くから開花していました。1930年、スタンフォード大学に入学し、そこで生涯のパートナーとなるウィリアム・ヒューレットと出会います。1934年に文学士号を取得後、1936年にはゼネラル・エレクトリックに入社し、真空管工学の分野で経験を積みました。

HPの創業と成長

1938年、パッカードはスタンフォード大学の特別研究員としてカリフォルニアに戻り、電気工学の修士号を取得。ヒューレットとの事業計画を具体化させ、1939年に538ドルの資本金でHPを創業しました。当初はパッカードのガレージを拠点とし、様々な電子計測器の開発・製造を行いました。パッカードは、1947年の法人化後、1964年まで社長、その後1968年まで最高経営責任者を務め、HPの成長を牽引しました。また、1964年から1968年、そして1972年から1993年まで取締役会会長を務め、経営戦略を主導しました。

公職と慈善活動

1969年、パッカードはニクソン政権下で国防副長官に就任し、HPを一時的に離れました。1971年に退任後、再びHPの取締役会会長に復帰し、経営に携わりました。1980年代からは、妻ルシル・サルターと共に、数多くの慈善活動に積極的に参加しました。1978年にはモントレー湾水族館財団を設立し、5500万ドルを寄付してモントレー湾水族館を設立。海洋生物学者の娘ジュリーを代表に迎え、1984年に開館しました。また、1987年にはモントレー湾水族館研究所を設立するために1300万ドルを寄付し、その後の運営を支え続けました。1964年には、デビッド&ルシル・パッカード財団を設立し、教育、科学、環境保護など幅広い分野で助成活動を行いました。1986年には、スタンフォード大学内にルシル・サルター・パッカード小児病院を設立するために4000万ドルを寄付し、1991年に開院しました。

晩年と遺産

1996年3月26日、パッカードは83歳で亡くなりましたが、彼の遺産はHPの成功、数々の慈善活動、そしてデビッド&ルシル・パッカード財団を通じて、今も社会に貢献し続けています。

受賞歴

1975年 - ワシントン賞
1982年 - 米陸軍士官学校よりSylvanus Thayer賞、アメリカエンジニアリング協会よりジョン・フリッツ・メダル
1989年 - 米国科学アカデミーより公共福祉メダル
1996年 - バウアー賞ビジネスリーダーシップ部門
1997年 - ヴァネヴァー・ブッシュ賞
1988年 - アメリカ国家技術賞

著書

* The HP Way: How Bill Hewlett and I Built Our Company

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