デフラグ (Windows)

Windows デフラグツールの歴史と進化

Windowsにおけるデフラグツールは、ファイルシステム上の断片化（フラグメンテーション）を解消し、ディスクの読み書き速度を向上させるための重要なユーティリティです。初期のMS-DOS時代からWindows 10に至るまで、その機能と名称は大きく変化してきました。ここでは、各バージョンのWindowsにおけるデフラグツールの変遷と詳細な仕様について解説します。

MS-DOS、Windows 9x時代

MS-DOS 6.xおよびWindows 9x系では、ノートン ユーティリティーズ Speed Diskの簡易版が標準搭載されていました。Windows 98には、Intel Application Launch Accelerator技術が導入され、頻繁に起動されるアプリケーションのファイルをディスクの高速な領域に配置することで、アプリケーションの起動時間を短縮する機能が追加されました。この技術は特にFAT32ファイルシステムにおいて効果を発揮しました。

Windows NT時代

Windows NT 4.0からデフラグメンテーションに必要なAPIが実装されましたが、ユーティリティプログラムは標準では付属しませんでした。当時はデフラグを行うための無料ソフトウェアが存在せず、ノートン ユーティリティーズやDiskeeperなどの有料ソフトウェアを購入する必要がありました。

Windows 2000、XP、Server 2003時代

Windows 2000以降では、Diskeeperの開発元であるExecutive Software International（当時）が開発したツールが標準で搭載されるようになりました。これはDiskeeperの簡易版であり、マイクロソフトによる調整が加えられていました。ただし、これらのバージョンにはいくつかの制限がありました。例えば、ページファイルやハイバネートファイルはデフラグメントの対象外であり、一度に一つのローカルボリュームしか最適化できませんでした。また、GUI版とコンソール版を同時に実行できず、スケジューリング機能もありませんでした（ただし、コマンドスクリプトとタスクスケジューラを利用すればスケジューリングは可能でした）。

さらに、Windows 2000のデフラグツールには、4KiBを超えるクラスタサイズのNTFSボリュームをデフラグメントできない、NTFSメタデータ（MFT）をデフラグメントできない、EFS暗号化ファイルをデフラグメントできない、未圧縮ファイルの小規模な移動ができない、といった制約がありました。

Windows Vista、Server 2008、7時代

Windows Vistaからは、マイクロソフトのCore File Servicesチームが開発したツールが搭載されるようになりました。このツールでは、専用アプリケーションによるGUIが採用され、以前のバージョンにあったMicrosoft 管理コンソール スナップインによるものではなくなりました。しかし、GUI版では詳細な分析結果は表示されなくなりました。

また、NTFSボリューム上の64MB以上の断片化は、コンソール版で特定のオプションを指定しない限り、統計に計上されず、最適化されませんでした。Windows 7では、SSDと認識された場合は自動実行されない仕様になりました。メタデータのデフラグメントが可能になり、シャドウコピーにも対応しました。また、優先度の低い設定で実行され、マウントされていない隠し属性のパーティションもデフラグメントできるようになりました。このバージョンでは、ユーザーインターフェースが簡略化され、詳細なパーセント表示ではなく、進捗状況を示すシンプルな表示になりました。

Windows 8、8.1、10時代

Windows 8以降では、SSDやフラッシュストレージへの対応が強化され、TRIMコマンドが実行されるようになりました。これは、デフラグメンテーションとは異なり、フラッシュストレージの効率的な利用を目的としたものです。また、シンプロビジョニングストレージに対しても、スラブ統合とTRIMが実行されるようになりました。

Windows 10では、ツール名称が「ドライブのデフラグと最適化」に変更され、ユーザーインターフェースが改善されました。特に、隠し属性のパーティションを表示する「詳細ビュー」チェックボックスが追加され、より詳細な設定が可能になりました。

まとめ

Windowsのデフラグツールは、初期の簡易版から、SSD対応、最適化機能の強化と、時代とともに進化を続けてきました。ユーザーインターフェースもより直感的になり、様々なストレージ環境で効果的な利用が可能になっています。

各バージョンの詳細な仕様を把握することで、Windowsのパフォーマンスを最大限に引き出すことができるでしょう。

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