デボラ・カー

デボラ・カーの生涯と業績

デボラ・カー（Deborah Kerr、本名：Deborah Jane Kerr-Trimmer）は、1921年9月30日にスコットランドのグラスゴーで生まれ、2007年10月16日にイギリス・サフォークで86歳で亡くなった著名な女優である。彼女は、エレガントな存在感と魅力的な演技で広く知られ、「英国の薔薇」という愛称でも親しまれた。

初期のキャリア

カーは、グラスゴーで生まれ育ち、若いころはサドラーズ・ウェルズ・バレエ団のバレリーナとして活躍していた。しかし、彼女の高身長が影響し、バレリーナとしてのキャリアを続けることが困難になったため、舞台女優へと転身した。ロンドンの舞台での良好な評判は、彼女の映画デビューへと繋がる。

1940年、カーはイギリス映画『Contraband』で映画デビューを果たした。以降、彼女は順調にキャリアを築き、特に1947年の『黒水仙』では高い評価を受け、ハリウッドからのオファーを受けることとなった。

ハリウッドでの成功

カーのハリウッドデビューは、1947年の作品で、彼女の表現力豊かな演技は多くのファンを魅了した。1953年公開の『地上より永遠に』では、バート・ランカスターとのキス・シーンが特に話題となり、彼女の名声は一層高まった。この作品はアカデミー賞にも多くのノミネートを受け、カー自身も主演女優賞にノミネートされた。

カーは、アカデミー主演女優賞に6度ノミネートされたが、受賞には至らず、やがて「オスカーの偉大な敗者」と称されることとなった。その後、1994年には第66回アカデミー賞にて名誉賞を受賞し、彼女の長年の功績が讃えられた。

代表作と受賞歴

カーのキャリアには数多くの名作が含まれている。特に舞台『王様と私』や映画『白い砂』『旅路』など、数々の作品で主演を務め、受賞歴も豊富である。

• - アカデミー賞ノミネート:

- 1950年『Edward, My Son』
- 1954年『地上より永遠に』
- 1957年『王様と私』
- 1958年『白い砂』
- 1959年『旅路』
- 1961年『サンダウナーズ』

• - 受賞歴:

- 1957年 ゴールデングローブ賞 ミュージカル・コメディ部門 主演女優賞（『王様と私』）
- 1994年 アカデミー名誉賞

彼女はまた、1985年にNHKの『NHK特集 ルーブル美術館』にナビゲーターとして出演したことでも知られている。

晩年と遗産

カーはパーキンソン病を患いながらも、スイスで過ごしていたが、病状が悪化し、家族の待つイギリス・サフォークに戻った。彼女は、2007年10月16日にこの地で息を引き取った。デボラ・カーは、映画界におけるその貢献と、彼女が輝かしいキャリアを通じて築いた遺産によって、今もなお記憶され続けている。

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