デマント

デマント：世界をリードする聴覚ケア企業

デマント（Demant A/S）は、デンマークを拠点とするグローバル企業であり、補聴器、人工内耳、聴覚診断装置など、聴覚ケアに関する幅広い製品とサービスを提供しています。デンマークの首都圏スメーロムに本社を置き、世界130カ国以上でビジネスを展開、30カ国以上に現地法人を保有する巨大企業です。ナスダック・コペンハーゲンにも上場しており、日本法人としてデマント・ジャパン株式会社が存在します。

慈善財団から生まれたグローバルリーダー

デマント社のユニークな点は、その所有構造にあります。100％出資母体は、慈善財団であるウィリアム・デマント財団（William Demant Fonden）であり、同財団はウィリアム・デマント・インベスト（William Demant Invest A/S）を通じてデマント社を所有しています。この構造が、同社の長期的なビジョンと、聴覚ケアへの貢献という使命感を支えています。

デマントは補聴器から人工内耳、診断機器、さらにはデジタル補聴器アプリなどの聴覚ヘルスケアソリューション、そしてオーディオソリューションまで、聴覚ケアの全分野を網羅する、世界で唯一の企業です。これは、同社の規模と技術力の高さを示すものであり、競合他社にはない強みとなっています。

100年を超える歴史：イノベーションの歩み

デマント社の歴史は、創業者のハンス・デマントの情熱から始まりました。聴覚に障害を持つ妻を助けたいという強い思いから、1904年、彼はオーティコン社を設立しました。当初はアメリカ企業の補聴器を輸入販売していましたが、やがて自社での生産を開始し、世界的な企業へと成長していきます。

ハンスの死後、息子のウィリアム・デマントが会社を引き継ぎ、コペンハーゲン近郊に移転、補聴器のライセンス生産を開始します。第二次世界大戦によるアメリカからの輸入途絶という困難を乗り越え、戦後には積極的な海外進出を展開。スイスやノルウェーなどに現地法人を設立し、スコットランドに工場を新設するなど、グローバル化を加速させました。

1995年には、スイスの補聴器メーカーであるバーナフォン社を買収し、事業を拡大。同年、株式を上場させました。その後も、数々の聴覚検査機器メーカーを買収し、製品ポートフォリオを強化し続けています。2019年には社名を現在のデマントに変更し、新たなステージへと進みました。近年では、フィリップス社とのライセンス契約による補聴器販売開始や、中国の大手補聴器ディーラーである声望の買収など、積極的な事業展開を続けています。2024年にはデンマークの聴覚クリニックチェーン買収により、デンマーク国内での補聴器小売市場シェアを拡大しました。

多様な事業部門：広がる聴覚ケアの世界

現在、デマントは大きく4つの事業部門を展開しています。

補聴器事業: オーティコン、バーナフォンなど、世界的に有名な補聴器ブランドを擁しています。フィリップスブランドの補聴器も取り扱っています。
聴覚ケア・補聴器リテール事業: オーディカ、ヒアリングライフなど、世界各地の補聴器販売店を傘下に持ち、顧客への直接的なサービス提供を行なっています。
聴覚診断装置事業: メイコ、インターアコースティクスなど、高精度な聴覚検査機器を提供しています。
パーソナルコミュニケーション事業: イーポスブランド（旧ゼンハイザー・コミュニケーションズ）によるヘッドセットやイヤホンなども製造販売しています。

これらの事業部門を通じて、デマントは幅広い顧客層のニーズに対応し、聴覚ケア分野におけるリーダーシップを確立しています。

充実した研究開発体制

デマントは、デンマークのエリクスホルム研究センターをはじめ、世界各地に研究施設を擁し、基礎研究から製品開発まで、幅広く研究開発に取り組んでいます。この研究開発への投資が、同社の技術革新を支え、高品質な製品・サービスの提供を可能にしています。

日本におけるデマント

日本市場においても、デマント・ジャパン株式会社が、オーティコン、バーナフォン、フィリップスヒアリングソリューションズなどのブランド製品を販売し、日本の聴覚ケア市場に貢献しています。

結論

デマントは、慈善財団を母体とする独自の企業体制と、長年にわたる技術革新、そしてグローバルな事業展開によって、世界をリードする聴覚ケア企業としての地位を確立しています。今後も、聴覚ケア分野におけるイノベーションを推進し、世界中の人々の生活の質向上に貢献していくことが期待されます。

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