デュアル・モード・ビークル

デュアル・モード・ビークル（DMV）とは

デュアル・モード・ビークル（DMV）は、鉄道と道路の両方を走行できる特殊な車両です。主にバスを基に改良され、鉄道車両としての機能も持ち合わせています。この技術は、交通インフラの効率を向上させ、特に利用が低調な地域でのコスト削減を狙っています。

開発の背景

DMVの開発は、日本の北海道旅行鉄道（JR北海道）が先駆けとなり、特に交通の便が悪い地方の公共交通の改善を目指して進められました。北海道内では、利用の少ない路線のコストを下げる方法として注目され、国内の他の地域でも導入の可能性が模索されています。また、イギリスやロシアなど他国でも、同様の技術開発が進められています。

DMVの特徴

DMVは通常のマイクロバスのフレームを改造したもので、外観は一般的なバスに似ていますが、特殊な改造が施されています。車両にはディーゼルエンジンが搭載され、運行時にはゴムタイヤと金属製の車輪の両方を使用します。通常、道路を走行する際はゴムタイヤのみを接触させますが、鉄道に入る際は金属車輪を下ろし、適切なガイドで線路に沿って走行します。

モード切り替え

道路走行から鉄道走行に切り替える際には、地面に設置されたポインターによって誘導され、約10秒でモードを切り替えられます。この切り替え装置は車両の前後に設置されたガイド輪で構成されており、スムーズにレール上に導入するための工夫がなされています。過去に同様の開発が行われた際には、手間がかかりすぎるために商業化に至らなかった例があり、これを改善することが重要とされています。

試作と運用

2004年、初の試作車「サラマンダー901」が製造され、試験運行が行われました。また、2005年にはさらなる改良が行われ、新型試作車が製造されました。これらの試作車は、特定の鉄道路線での試験的走行に使用され、各種評価を受けましたが、予期しない問題も発生しました。特に、雪道での脱線事故があり、その後は雪の少ない地域での運用に制限されました。

阿佐海岸鉄道との連携

2017年には、徳島県の阿佐海岸鉄道がDMVの導入を決定し、世界初の本格的な営業運行を実施することが発表されました。この計画では、特定の路線で行き来しながら、地域の公共交通を強化し、観光資源として活用することが目指されています。阿佐海道では、鉄道と道路を接続するモードインターチェンジが設置される予定です。

課題と展望

DMVには多くの利点がありますが、その一方で多くの課題も抱えています。厳しい運行条件、特に冬季の雪に対する耐性の確保や、車両の軽量性が鉄道信号システムとの連携を難しくするなどの問題があります。また、運転手が両方の運転免許を取得する必要があり、運転交代のための時間やコストも考慮しなければなりません。

今後は地域公共交通の需要に応じて、DMVのさらなる発展に期待が寄せられています。この新しい交通手段は、地方交通に様々な可能性をもたらすかもしれません。

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