デューン/砂の惑星 (1984年の映画)

映画『デューン/砂の惑星』の詳細解説

『デューン/砂の惑星』（1984年）は、フランク・ハーバートによるSF小説『デューン砂の惑星』を原作とした映画です。監督はデイヴィッド・リンチが務め、カイル・マクラクラン、ユルゲン・プロホノフ、フランチェスカ・アニスなどが出演しました。

ストーリー

物語の舞台は、砂に覆われた惑星アラキス、通称デューンです。この惑星は、宇宙を支配する力を持つ「メランジ」と呼ばれるスパイスの唯一の産地であり、その利権を巡る争いが繰り広げられます。巨大な砂虫が生息する過酷な環境下で、主人公ポール・アトレイデスは、一族の運命と惑星の未来を背負い、壮大なドラマが展開していきます。

キャストと日本語吹替

本作は、過去に日本テレビ版とテレビ朝日版の2種類の吹替版が存在します。

日本テレビ版：1988年6月10日「金曜ロードショー」で放送
テレビ朝日版：1990年5月27日「日曜洋画劇場」で放送

2015年発売のBlu-rayボックスには、両方の吹替版が収録されています。

スタッフ

監督・脚本: デイヴィッド・リンチ
製作総指揮: ディノ・デ・ラウレンティス
製作: ラファエラ・デ・ラウレンティス
原作: フランク・ハーバート
撮影: フレディ・フランシス
音楽: ブライアン・イーノ、TOTO

幻の企画と制作の紆余曲折

実は、本作の映画化は何度も頓挫しかけていました。

1971年、アーサー・P・ジェイコブスが映画化権を取得し、デヴィッド・リーン監督で進める予定でしたが、ジェイコブスの急死により企画は頓挫。その後、1973年に権利を買い取ったフランスの映画制作組合は、アレハンドロ・ホドロフスキー監督のもと、クリス・フォス、ジャン・ジロー、H・R・ギーガーなどの豪華スタッフ、サルバドール・ダリやオーソン・ウェルズなどの大物俳優を集め、10時間以上にも及ぶ大作を構想しましたが、製作費の問題で企画は中止となりました。この時、特殊効果を担当したダン・オバノンは、この経験を元に『エイリアン』の脚本を完成させました。

その後、ディノ・デ・ラウレンティスが権利を獲得し、デイヴィッド・リンチ監督で製作が再開されました。しかし、ラフカット版は4時間以上あり、大幅な編集を経て2時間以内に短縮されました。

評価

公開当時、原作ファンやSFファンからは、ストーリーがダイジェスト版のように短縮されたことや、原作の壮大な世界観を十分に表現できていないという批判が多数ありました。原作者のハーバートも本作を不評としています。しかし、リンチ独特の映像美とカルト的な雰囲気は、映画マニアの間で一定の評価を得ています。

ホドロフスキーは、自身の企画が頓挫した経験から本作を当初はショックを受けていましたが、実際に鑑賞するとあまりに酷かったため逆に嬉しくなり、「才能のあるリンチがこんな駄作を作るはずがない。ハリウッドのスタジオ体制の犠牲になったのだ」と述べています。

批評家からの評価も分かれており、Rotten Tomatoesでは高評価が47%に留まり、Metacriticでは平均点が41点と低評価です。

主演のカイル・マクラクランは、本作がデビュー作であり、後にリンチ作品の常連となりました。

再編集版とその後

1988年には、未公開シーンを多数追加した189分の長尺版がテレビ放映されました。この再編集版は、構成が改善されましたが、監督はアラン・スミシー名義となっています。日本では『デューン/スーパープレミアム・砂の惑星・特別篇』としてビデオ発売されました。

2000年代初頭には、Sci Fiチャンネルでテレビドラマシリーズ化され、『デューン/砂丘の子供たち』までが映像化されています。

2017年には、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるリブート版の製作が発表され、新たな『デューン』の映画化が始まりました。

影響

本作は、1996年にイギリスの音楽バンド「ジャミロクワイ」がリリースしたアルバム「トラベリング・ウィズアウト・ムービング」のタイトルに影響を与えています。

参考資料

映画秘宝ムック『底抜け超大作』

外部リンク

デューン/砂の惑星 - allcinema
デューン/砂の惑星 - KINENOTE
Dune - オールムービー（英語）
* Dune - IMDb（英語）

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