デリバリーヒーロー

デリバリーヒーロー：世界を舞台にしたフードデリバリー企業の興亡

デリバリーヒーロー（Delivery Hero SE）は、ドイツ・ベルリンに本社を置く、世界規模でオンラインフードデリバリーサービスを提供する多国籍企業です。フランクフルト証券取引所に上場しており、ウェブサイトとモバイルアプリケーションを通じて70カ国以上でサービスを展開しています。

起業と積極的な買収戦略

デリバリーヒーローの始まりは、2011年5月、スウェーデン出身の元経営コンサルタント、ニクラス・エストベリ氏によってベルリンで設立されたRPG International Holding GmbHです。当初からグローバル展開を目指し、設立直後から積極的に同業他社の買収を進めました。2012年にはスウェーデン、イギリス、ドイツの企業を買収し、事業を拡大。その後も投資家の資金を活用し、2014年にはウルグアイのPedidosYaを買収してラテンアメリカに進出、韓国のBaedaltongの主要株主となり、ヨギヨというブランドを傘下に加えるなど、積極的なM&A戦略を展開しました。

2015年には、ドイツのベンチャーキャピタルであるロケット・インターネットがデリバリーヒーローの大株主となり、さらにトルコのYemeksepetiを買収して中東市場に進出しました。2016年には東南アジアのfoodpandaを傘下に収め、事業領域をさらに拡大しました。この期間、デリバリーヒーローは世界中の有力なフードデリバリー企業を次々と買収し、圧倒的な市場シェアを獲得していきました。

その後、南アフリカの投資会社ナスパーズが主要株主となり、2017年には株式を上場させました。しかし、2018年にはドイツ国内事業をテイクアウェイドットコムに売却するなど、戦略的な事業売却も行っています。2020年には韓国のウーワ・ブラザーズを買収し、ペミンというブランドを傘下に加えました。これらの買収と売却を通じて、デリバリーヒーローは常に市場環境の変化に対応し、最適な事業ポートフォリオを構築しようと試みてきました。

主要ブランドと地域別売上

デリバリーヒーローは、世界各国で様々なブランドを展開しています。foodpanda、ヨギヨ、ペミン、Talabatなど、地域や文化に合わせたブランド戦略が特徴です。特にアジアと中東地域は、デリバリーヒーロー全体の売上の約4分の3を占めており、これらの地域が同社の収益を支えています。

主な保有ブランドを以下に示します。(国・地域は例示であり、全てではありません)

foodpanda (アジア、ヨーロッパなど多数の国と地域)
ヨギヨ (韓国)
ペミン (韓国)
Talabat (中東)
Yemeksepeti (トルコ)
PedidosYa (ラテンアメリカ)

日本市場への参入と撤退

日本市場においては、2020年5月に日本法人を設立し、同年9月からfoodpandaブランドでサービスを開始しました。しかし、2021年12月には翌年第1四半期中の日本事業売却を発表し、2022年1月31日にサービスを終了しました。その後、日本法人は2023年4月に解散しました。日本市場での展開は短期間に終わりましたが、この撤退はデリバリーヒーローのグローバル戦略における一つの事例として注目に値します。

まとめ

デリバリーヒーローは、積極的な買収戦略とグローバルな展開によって、世界有数のフードデリバリー企業へと成長しました。しかし、日本市場撤退に見られるように、常に市場環境の変化に対応し、戦略的な事業調整を行う必要性を示しています。今後のデリバリーヒーローの動向は、グローバル企業の戦略を考える上で重要な視点となるでしょう。

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