ナスパーズ

ナスパーズ (Naspers)

ナスパーズは、世界130か国以上に事業を展開するインターネットおよびメディアの多国籍企業です。会社の本部は南アフリカ共和国にあり、インターネット通信やビデオエンターテインメント、印刷メディアなど多岐にわたる事業を展開しています。南アフリカのヨハネスブルグ証券取引所に上場しており、ティッカーシンボルはNPNです。

歴史

ナスパーズは1915年に設立され、当初は「De Nationale Pers Beperkt」という名称で新聞や雑誌の印刷と出版に特化していました。この創業は、ケープ地方のアフリカーナーグループの意向によるもので、彼らはアフリカーナー・ナショナリズムを支援するための出版企業を設立することを決定しました。

ナスパーズは1915年6月にアフリカーンス語の日刊紙「De Burger」を発行し、その後1916年に雑誌「De Huisgenoot」を出版しました。1918年には書籍出版事業に進出し、徐々にアフリカの重要なメディアハブとなりました。特に1985年にアフリカ初の有料テレビシステム「M-Net」を設立したことで、同社は単なる出版社からメディア企業へと進化を遂げました。

1994年からは南アフリカの証券取引所に上場し、その後数年間にわたり市場での存在感を高めていきました。また、ナスパーズは1998年に公式に現在の名称「Naspers」に変更しています。

テンセントの影響

ナスパーズは中国のテクノロジー企業テンセントへの投資によっても有名です。2010年以降、ナスパーズの株価は約900%も上昇しており、この成長の背後にはテンセントの成功が大きく寄与しています。ナスパーズの時価総額は約930億ドルに達し、アフリカで最も価値のある上場企業となっています。

また、ナスパーズの子会社である「Myriad International Holdings」はロシアの企業「デジタル・スカイ・テクノロジー」にも投資しており、同企業はFacebookやグルーポン、ジンガなどに出資しています。テンセントもそのエコシステムの一部としてDSTに戦略的に投資を行っており、ナスパーズが持つテンセントの株式は31.17%に及びます。

アパルトヘイトへの関与

ナスパーズはアパルトヘイト制度の確立に関与していたことについて大きな批判にさらされています。特に同社の役員や編集者の中には政府高官となった者もおり、その中には著名な政治家が含まれていました。2015年にはアパルトヘイトの被害者に対して謝罪文を発表しましたが、制度に対する支持は否定しています。

法令違反の指摘

2017年には、ナスパーズの子会社「DStv」が競争法に違反していたことを認め、2,200万ランドの罰金を科されました。これは競争委員会によって独自の価格設定慣習が問題視されたことに起因しています。

企業構造

ナスパーズは多くの子会社を持ち、インターネットメディアではMultiply、OLX、Allegroなどを展開しています。テレビメディア部門にはMultiChoiceやDStvがあり、オンラインサービスや印刷メディアも含まれています。また、テンセントやMail.ruの株式の少数持分も有しており、広範な事業展開をしています。

ナスパーズは、インターネットおよびメディア業界における重要なプレーヤーとして、今後の成長が期待される企業です。

もう一度検索