デルタ符号

デルタ符号とは

デルタ符号は、情報理論における可変長符号の一種であり、特に正の整数を効率的に符号化するために用いられます。アメリカの数学者ピーター・イライアスによって開発されたこの符号は、ユニバーサル符号というカテゴリーに属し、符号化する数値の大きさに応じて符号語の長さを調整する特徴を持っています。

符号化の仕組み

デルタ符号の符号化プロセスは、以下の二つの段階に分けることができます。

1. 数値の2進数表現と桁数の特定:
まず、符号化したい正の整数を2進数で表現します。この2進数表現をXとします。次に、Xの桁数（ビット数）を数えます。

2. 桁数のガンマ符号化と数値の符号化:
Xの桁数をガンマ符号で符号化します。ガンマ符号は、0の数を桁数、次に1、その後に桁数を2進数で表します。次に、Xから最上位ビット（最も左にある1）を除いた残りのビット列を出力します。このガンマ符号で符号化された桁数と、最上位ビットを除いたビット列を組み合わせたものがデルタ符号となります。

例えば、整数10をデルタ符号化する場合を考えてみましょう。

1. 10を2進数で表現すると`1010`になります。このビット数は4です。
2. 4をガンマ符号で表すと`1100`となります。
3. 1010から最上位ビットの1を除いた残りの`010`を記述します。
4. 上記の1,2,3を繋げると`1100010`となり、これが10のデルタ符号となります。

デルタ符号の特徴

デルタ符号は、特に大きな整数を効率よく符号化するのに適しています。大きな整数は2進数表現での桁数が多くなるため、その桁数を符号化することで、より長い符号語が割り当てられます。一方で、小さな整数は桁数が少ないため、短い符号語が割り当てられます。この性質により、データの偏りに応じて効率的な符号化が可能になります。

デルタ符号の適用例

デルタ符号は、データ圧縮や情報伝送の分野で幅広く利用されています。特に、頻度の偏りが大きいデータや、数値データの符号化において、その効率性が高く評価されています。

ガンマ符号との比較

デルタ符号は、大きな整数を符号化する際にガンマ符号よりも効率が良い場合がありますが、小さな値ではガンマ符号の方がより短い符号語を生成できるため、用途に応じて使い分ける必要があります。どちらの符号も、情報源の統計的性質を考慮して、最適な符号を選択することが重要です。

関連する符号

デルタ符号に関連する符号には、以下のようなものがあります。

イライアス符号: デルタ符号を含む、ピーター・イライアスが考案した一連の可変長符号です。
アルファ符号: 1進数表現を用いる符号化方式です。値が小さい場合に効率的です。
ガンマ符号: デルタ符号の構成要素としても利用される、整数を符号化するための可変長符号です。
整数の符号化: 様々な符号化方式を含む、整数値を効率的に表現するための技術の総称です。

これらの符号は、それぞれ異なる特徴を持ち、データの性質に応じて使い分けられます。デルタ符号は、その効率的な符号化能力から、多くの情報システムにおいて重要な役割を果たしています。

もう一度検索