デルタ航空1288便エンジン爆発事故

デルタ航空1288便エンジン爆発事故

デルタ航空1288便のエンジン爆発事故は、1996年7月6日に発生しました。この事故は、フロリダ州ペンサコーラからジョージア州アトランタに向けての定期便、マクドネル・ダグラス MD-88型機におけるもので、離陸時にエンジンが破裂して重大な事態を引き起こしました。

事故概要

この事故の発端は、ペンサコーラ地域空港の滑走路17からの離陸直後に発生しました。離陸中で、左側のエンジンのコンプレッサーが破裂し、その破片が機体の左後方にある客室に突き刺さりました。この事故により、母親と息子の2名が命を落とし、さらに2名の乗客が重傷を負うという悲劇的な結果を招きました。

事故機のMD-88型は1988年に製造され、1988年11月にデルタ航空に納入されました。その際、最大142人の乗客を収容する能力を有し、ファーストクラスとエコノミーの座席配置がなされています。事故時には、22,031時間の飛行時間を持っていました。

点検と離陸前の兆候

事故前の点検で副操縦士は左エンジンの先端にオイルが漏れているのを発見しましたが、深刻な問題とは考えず、そのまま飛行を続行する判断をしました。また、左主翼のリベットの脱落にも気付いていましたが、パイロットはいずれも危険性を認識せず、整備部門にも報告しませんでした。

離陸は14時23分に開始され、スロットルを開けて機速が40ノットに達した瞬間、操縦室内の照明が消え、計器が機能しなくなりました。このとき後方の乗客は大きな爆発音を聞き、パイロットはすぐに離陸を中止しました。

緊急避難の実施

機体が停止した後、副操縦士は管制官と通信を試みましたが、操縦室の電源が落ちていたため困難でした。そのため、非常電源を起動して管制塔に緊急事態を通知しました。非常事態の収束には、飛行中の非番パイロットも協力し、初期の救助活動が行われました。

しかし、機外からの状況確認によって、機体後部に穴が開いていることが判明し、エンジンから異音がすることが確認されました。乗客の避難は一時中断され、左エンジンから火が出ているのが見つかったため、避難誘導が再度厳重に行われました。時間が経過する中で、負傷者が増加し、特に母子が死亡するという悲劇が発生しました。

事故原因と調査結果

NTSBの調査によると、事故の主な原因は左エンジンの前部にあるコンプレッサーのファンハブに亀裂があったこととされています。この亀裂は製造段階から存在していた可能性が高く、定期検査が不十分だったために見逃されていました。整備班が問題を発見できなかったことも事故の要因となりました。

事故後の影響

この事故の影響を受け、デルタ航空では顧客の安全を再評価し、整備体制の見直しを進めました。事故機はその後もデルタ航空の在籍機として残っていますが、現在使用される機材はMD-88だけでなく多様な機種に拡大しています。

以上がデルタ航空1288便エンジン爆発事故の概要です。安全な空の旅を実現するための教訓として、航空業界において重要な事案とされています。

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