デンドロビウム・アフィルム

デンドロビウム・アフィルム（Dendrobium aphyllum）について

デンドロビウム・アフィルムは、デンドロビウム属に属する落葉性の多年生着生植物で、美しい洋ランの原種として知られています。この植物は細長い茎と、春に咲き誇るピンクの花が特徴的です。学名としては、D. pierardiiやD. amoenumも使用されることがあります。

特徴

デンドロビウム・アフィルムの茎は、通常60〜90センチメートルの長さを持ち、直径は約0.3〜0.4センチメートルの吸水性を持つ棒状となっています。これが垂れ下がることで、独特の美しさを放ちます。葉は狭卵形で、長さは5〜12センチメートル、幅は1〜1.5センチメートルと小型ですが、これもまたそのエレガントな印象を強めています。興味深い点として、原産地のチッタゴンでは、茎が2メートルに達することもあると報告されています。

開花期は春ですが、夏には多くの葉を発生させて成長します。そのため、開花期に入ると葉がすべて落ちるという特徴があります。花茎は、茎の多くの節から出現し、1本の花茎には通常2〜3輪の花が咲きます。花の直径は約5センチメートルで、甘い香りを放ちます。花の萼片と側花弁は、白から淡い桃色の色合いで、紫色の筋紋や斑紋が刻まれます。唇弁は白く、ほぼ円形で、縁は毛状に分かれており、表面は柔らかい毛で覆われています。

分布と生育環境

デンドロビウム・アフィルムは、インドや中国南部からマレーシアにかけて広く分布しています。この植物は、主に高温多湿な環境を好みます。栽培は比較的容易ですが、特に温度管理には注意が必要です。

利用

デンドロビウム・アフィルムは、主に観賞用として栽培され、花の美しさから多くの愛好者に支持されています。特にその垂れ下がる性質から、吊り鉢で育てるのが一般的です。枝垂れた茎は多くの花を生けることができ、その姿はまるで「ピンクの滝」のように魅力的です。開花期に葉が無いことで、花がより際立つため、この植物は特に鑑賞価値が高いとされています。

脚注

このデンドロビウム・アフィルムに関する情報は、以下の文献に基づいています。

• - 唐澤耕司監修『蘭 山渓カラー図鑑』（1996年、山と渓谷社）
• - 向坂好生『洋ランの育て方完全ガイド NHK趣味の園芸別冊』（2008年、NHK出版）
• - 塚本洋太郎ほか『原色薔薇・洋蘭図鑑』（1956年、保育社）

デンドロビウム・アフィルムは、その美しい姿と独特の生態から、魅力的な洋ランとして多くの人々に愛されています。

もう一度検索