トイボックス

株式会社トイボックス

株式会社トイボックスは、1966年に創業した日本の玩具メーカーです。英語表記はTOYBOX CORPORATIONとなります。本社を東京都に置いています。

主に幼児向けの玩具製品を数多く手掛けており、子供たちの成長をサポートする知育玩具や遊びを通じて創造性を育む商品を企画・開発しています。近年では、「10万円貯まるBANK」といった貯金箱型のヒット商品も生み出しており、幅広い年齢層に向けたユニークな製品展開も行っています。

自社ブランド製品の販売を主軸とする一方で、過去には他の玩具メーカーへの相手先ブランドによる製造（OEM）供給も積極的に行っていました。このOEM事業における特筆すべき例として、世界中で人気を博す変形ロボット玩具シリーズ、『トランスフォーマー』に関わる製品の開発・製造への関与が挙げられます。特に、「オメガ・スプリーム」と「スカイリンクス」という、シリーズの中でも大型でユニークな変形機構を持つキャラクターの玩具には、トイボックスのOEM供給の歴史が深く関わっています。

トイボックスは1984年に「スーパーチェンジロボ メカボット-1」という自社ブランド製品を発売しました。この意欲的な製品の開発と製造は、トイボックスからの依頼を受け、当時の大手玩具メーカーである株式会社トミー（現タカラトミー）が担当していました。「メカボット-1」は、トイボックス自身のブランドで日本市場に出されただけでなく、トイボックスを通じて海外の二社の玩具メーカーにも提供されました。ドイツのGama Toysでは「TRANS ROBOT」という名称で販売され、さらに、アメリカのハズブロからは、成型色などが変更された、いわゆる「リカラー」版として『トランスフォーマー』シリーズの一つ「AUTOBOT DEFENSE BASE OMEGA SUPREME（オメガ・スプリーム）」として1985年に発売されたのです。これは、トイボックスが関わった製品が、海を越えて世界的な人気シリーズの一部となった極めて珍しい事例と言えます。

同じく『トランスフォーマー』シリーズにおいて、ハズブロが1986年に発売した「AUTOBOT SKY LYNX（スカイリンクス）」も、オメガ・スプリームと同様の経緯をたどっています。この製品も、トイボックスの依頼によりトミーが開発・製造を手掛け、トイボックスを経由してハズブロへ供給されました。ただし、「メカボット-1」とは異なり、スカイリンクスはトイボックスの自社製品としては販売されませんでした。

これらの製品が開発・製造された当時、『トランスフォーマー』の玩具は、北米をはじめとする海外市場ではハズブロが主に販売していましたが、日本国内においては株式会社タカラ（現タカラトミー）が展開を担当していました。興味深いことに、オメガ・スプリームやスカイリンクスといった製品の製造・供給に関わったトイボックスおよび開発元であるトミーは、日本国内市場におけるタカラにとって競合関係にある企業でした。この複雑な企業間の関係性が、日本国内でのこれらの製品の正式な販売を困難にしました。結果として、版権上の問題などが生じ、オメガ・スプリームやスカイリンクスは、当時の日本では正規に発売されないという事態を招いたのです。

その後、これらの製品に関する金型および日本国内での販売に関する権利は、トイボックスからトミーへと引き継がれることになります。状況が大きく変化し、日本での復刻販売の可能性が開かれたのは、2006年に日本の玩具業界の二大大手であったタカラとトミーが合併し、株式会社タカラトミーが誕生したことです。この歴史的な合併により、かつての競合関係に由来する複雑な権利上の問題が事実上解消されました。加えて、オメガ・スプリームやスカイリンクスの製造に使用された金型が旧トミー側に現存していることも確認されました。こうした有利な条件が整った背景を経て、2008年以降、『トランスフォーマー アンコール』シリーズとして、これらの製品の復刻販売が順次実現されました。長らく日本市場で入手困難だった、トイボックスのOEM事業にルーツを持つアイテムが再びファンに届けられることとなり、多くの往年のファンを喜ばせました。

トイボックス株式会社は、設立以来、子供たちの成長を見守る玩具を提供し続けていますが、過去のOEM事業、特に『トランスフォーマー』における国際的な関与とその後の複雑な販売経緯は、日本の玩具業界における企業間の関係性や流通の歴史を垣間見せる興味深いエピソードとして記憶されています。

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