トウブハイイロリス

トウブハイイロリスについて

トウブハイイロリス（東部灰色栗鼠、学名：Sciurus carolinensis）は、北アメリカ原産のリスの一種であり、ネズミ目・リス科に属します。特にアメリカ合衆国の東部や中西部を中心に分布しており、現在ではイギリスなどに導入されて外来種としても定着しています。

分布

トウブハイイロリスの主な生息地は、アメリカ合衆国東部と中西部、さらにはカナダの南部の一部地域です。特にニュージャージー州から始まり、マニトバ州、テキサス州東部、フロリダ州まで広がっています。北米においては、キツネリス（学名：Sciurus niger）との生息地が重なることがありますが、キツネリスの分布はやや西側に集中しています。また、アイルランドやイギリス、イタリア、南アフリカ、オーストラリアにも導入されており、これにより自生の他種の数が減少することが懸念されています。

特徴

トウブハイイロリスは毛皮が主に灰褐色で、稀に茶色みを帯びることもあります。腹毛は一般的に白っぽく、尻尾は大きくふさふさしています。体長は約23〜30センチメートル、尾の長さは19〜25センチメートルで、体重は通常400〜600グラムです。他のリスと同様に、前足は4本指、後ろ足は5本指を持っています。

行動

このリスは昼行性で、食糧を隠して後で回収する習性があります。多くの場合、食糧を短期間に回収し、より安全な場所に再埋めします。通常、1シーズンに数千の食糧を隠すことから、空間記憶能力に優れています。トウブハイイロリスは頭から木を降りられる数少ない哺乳類の一つで、木の幹に巣を作り、繁殖期や冬季にオスとメスが同居することもあります。

敵

このリスの天敵にはタカ、イタチ、アライグマ、猫、犬、ヘビ、フクロウなどがいます。特に、獲物とされることが多いのです。

出産および寿命

トウブハイイロリスの繁殖は年に2回行われ、食糧状況や年齢により出産回数は異なります。一般的には1回に1〜4匹を出産し、妊娠期間は約44日です。1年後の生存率は低く、さらなる年齢となるにつれて生き延びるのが難しくなります。保護された環境下では20年ほど生存することもありますが、野生では生命を維持することが危険です。

コミュニケーション

トウブハイイロリスは鳴き声や動作を用いて相互にコミュニケーションを取ります。低音を出したり、「クック」と鳴いたりすることによって、仲間に敵の出現を知らせる一方、母と子の間や繁殖期には愛情表現を行います。特に都市部では、聴覚よりも視覚でのコミュニケーションが重視されます。

食事

このリスの食性は主に植物に依存しており、樹皮、種子、ドングリ、ベリーなどを食べます。人間の住環境に適応し、庭の作物を盗むことや、昆虫や他の小動物を食べることもあります。時には森の菌類を食べることもあり、食糧源が減少すると、さまざまなものを摂取する工夫を行っています。

外来種問題

イギリスでは、トウブハイイロリスが在来種のキタリスを脅かしており、その影響は農作物や生態系にも及んでいます。これにより、外来種としての規制が強化されており、日本でも特定外来生物に指定されています。

まとめ

トウブハイイロリスは、その生態や行動、そして外来種としての影響から、注目される存在です。今後の環境への影響を考慮することが求められています。

もう一度検索