トスリンク

トスリンク（TOSLINK）とは

トスリンク（TOSLINK）は、光ファイバーケーブルを用いたデジタルオーディオ伝送の規格で、主に民生用音響機器間の接続に利用されます。CDプレーヤー、DATレコーダー、MDレコーダーなど、多くのデジタルオーディオ機器で採用されています。

主な特徴

光ファイバー接続: 電気信号ではなく光信号でデータを伝送するため、電気的なノイズの影響を受けにくく、高品質な音声伝送が可能です。
角型コネクタ: 一般的にはEIAJ/JEITA RC-5720規格に準拠した角型コネクタが用いられます。
S/PDIF|S_PDIF規格: 現在では、S/PDIF|S_PDIF規格に準拠したオーディオストリームの伝送が一般的です。

歴史

トスリンクは、1983年に東芝によって開発されました。当初はPCMオーディオストリームを伝送する目的で開発され、多くのCDプレーヤーメーカーが採用しました。その後、DVDプレーヤーやゲーム機にも広く搭載され、ドルビーデジタルやDTSデコーダーとの接続にも利用されています。

名称と規格

「トスリンク」は東芝の登録商標であり、コネクタだけでなく光伝送デバイス全般を指す名称として使用されます。TOSlink、TOS-Link、TosLink、Tos-Linkなど、表記の揺れがありますが、標準規格としての正式名称はEIAJ opticalです。

ケーブルの種類

トスリンクケーブルには、安価なプラスチック製光ファイバーから高価なガラス製光ファイバーまで、様々な種類があります。ケーブルの選択は、用途や必要な帯域幅に応じて行います。一般的にケーブル長は5m程度までとされていますが、技術的には10m程度まで信号ブースターなしでの安定した伝送が可能です。最近では30mを超える長尺ケーブルも見られます。

Mini-TOSLINK

Mini-TOSLINKは、通常のトスリンクと同等の機能を持つ小型コネクタです。形状は3.5mmモノラルミニプラグに似ており、変換アダプターを用いることで通常のトスリンクケーブルとの接続も可能です。主にApple製品やポータブルMDプレーヤーなどで採用されています。

他の光伝送技術

ADATライトパイプ（ADATオプティカル）は、プロ用音響機器で利用される光伝送技術で、トスリンクと同じJIS F05コネクタを使用していますが、データフォーマットはS/PDIF|S_PDIFとは互換性がありません。

トスリンクのメリット・デメリット

メリット

電気絶縁: 接続された機器間が電気的に絶縁されるため、グラウンドループによるノイズの影響を防ぐことができます。

デメリット

コネクタの脆弱性: コネクタ先端の差し込み部分が折れやすく、折れたプラスチック片がコネクタ内部に残ることがあります。
物理的なズレに弱い: 光信号は端子部のわずかなズレにも影響を受けやすく、抜き差しの繰り返しや経年劣化によって端子の固定が甘くなり、信号伝送不良が発生することがあります。

まとめ

トスリンクは、デジタルオーディオ機器間の接続において、ノイズに強く高品質な音声伝送を可能にする便利な規格です。しかし、コネクタの取り扱いには注意が必要で、劣化や破損による信号不良にも注意が必要です。これらの点を理解した上で、トスリンクを適切に活用することで、より良いオーディオ環境を構築できます。

参考資料

TOSLINK Interconnect History & Basics
光伝送デバイストスリンク(R) 東芝セミコンダクター

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