デジタルオーディオ

デジタルオーディオとは

デジタルオーディオは、音をデジタル信号として表現したものです。アナログの音声データを数値データに変換（A/D変換）し、記録・保存、伝送します。再生時には、デジタルデータをアナログ信号に変換（D/A変換）し、スピーカーなどで音として再生します。このプロセス全体がデジタル音響信号処理の一種です。

デジタルオーディオで使われる主な変換方式には、パルス符号変調（PCM）とΔΣ変調があります。

アナログオーディオとの比較

従来のアナログオーディオは、レコードやテープなどに連続的な信号として記録されます。再生時には、カートリッジや磁気ヘッドが電気信号に変換しますが、その品質はS/N比やダイナミックレンジに左右されます。一方、デジタルオーディオは、量子化ビット数とサンプリングレートによって音質が左右されます。

CDの場合、16ビットの量子化ビット数と44.1kHzのサンプリングレートで、可聴周波数帯域（約20kHz）をカバーします。デジタル記録の利点は、理論上、繰り返し使用や複製、経年劣化がないことです。アナログ記録のように、溝の摩耗や磁気劣化による音質劣化がないのが特徴です。

データ量について

デジタルオーディオのデータ量は、ビットレートとオーディオの長さで決まります。例えば、ステレオCDの74分間のデータ量は約650MBです。ハイレゾオーディオは、量子化ビット数やサンプリングレートを高めることで、CDの3倍以上のデータ量になります。データ量を削減するために、MP3やFLACなどのデータ圧縮技術も利用されます。

データ形式と単位

デジタルオーディオには、様々な音声ファイルフォーマットがあります。これにより、異なる機器間でも効率的な再生が可能です。

音圧の単位は、アナログ信号と同様にデシベル（dB）を用います。dBFSは最大値を基準とした相対レベル、dBSPLは20μPaを基準としたレベルを表します。

ストレージ技術

デジタルオーディオは、様々なメディアやストレージに保存できます。

特定形状のメディア
コンパクトディスク（CD）
デジタルオーディオテープ（DAT）
ミニディスク（MD）
デジタルコンパクトカセット（DCC）
DVDオーディオ
スーパーオーディオCD（SACD）

音声ファイル形式に対応した多様なストレージ
ハードディスクレコーダー（HDD、SSD）
ICレコーダー（内蔵メモリ、SDカード）
デジタルオーディオプレーヤー（内蔵メモリ、SDカード）
PCオーディオ（PC内蔵HDD、外付けHDD、NAS、CD、メモリーカードなど）
ネットワークオーディオ（内蔵HDD、外付けHDD、NAS）
スマートフォン、タブレット（内蔵メモリ、SDカード）

デジタルオーディオの歴史

1970年代に業務用デジタル録[[音]]機器が登場しました。初期はビデオデッキ（VTR）を流用し、NTSC規格に合わせてサンプリングレートが44.1kHzに決定されました。その後、DATやDVDなど、48kHzのサンプリングレートが使われるようになり、ハイレゾでは96kHzや192kHzも使われます。

1982年には、民生用デジタルオーディオとしてCDが登場しました。1980年代後半以降、DATやMD、CD-R/RWなどが普及しました。1990年代には、PCの普及に伴い、PCでの音楽再生が始まりましたが、当時はデータ容量の制約から、MP3などの圧縮フォーマットが主流でした。1999年には、SACDとDVD-Audioが登場し、ハイレゾオーディオが普及し始めました。2000年代以降は、iPodなどの携帯デジタルオーディオプレーヤーが普及し、スマートフォンにも搭載され、デジタルオーディオは身近なものになりました。

近年では、インターネット経由でのストリーミング再生も一般的になり、音楽をより手軽に楽しめるようになっています。

参考資料・リンク

デジタルオーディオの基礎から応用（1）：デジタルオーディオで押さえるべき基本 ～その特徴を再確認しよう～
オーディオ入門 ( Audio Seminar ) デジタルとアナログ - ＠ジャズ
連載：IT因縁話「ビデオ信号が決めたCDのスペック(1)～PCMという記録方式～」 - APPREVIEW

関連項目

録[[音]]
録[[音]]再生機器
デジタル[[音響システム]]
音声ファイルフォーマット
ハイレゾリューションオーディオ
デジタルオーディオプレーヤー
ICレコーダー
* ストリーミング

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