トチカガミ(
学名:Hydrocharis dubia)は、
トチカガミ科トチカガミ属に分類される多年生の浮葉
植物です。
和名の「トチカガミ」は、
光沢のある丸い葉が水面に浮かぶ様子を、
スッポンの甲羅を
鏡に見立てたことに由来します。属名のdubiaは、
ラテン語で「疑わしい」「不確実」を意味します。
分布
トチカガミは、東アジアが原産と考えられており、
中国、
朝鮮半島、
東南アジア、
オーストラリア、そして日本に分布しています。日本国内においては、有史以前に大陸から渡来したと考えられ、現在では本州から南西諸島にかけて広く分布しています。主に、
池、
沼、河川、用水路などの淡水域に生育し、稀に水田で見られることもあります。
特徴
トチカガミは、水中に匍匐茎を伸ばして繁殖します。茎の節からは根、葉、
花が形成されます。葉は、まず2枚の托葉が形成され、その腋から浮葉が伸びます。浮葉は3~15cmの長さの柄を持ち、先端の葉身はスイレンの葉を丸くしたような形状で、裏面中央部には膨らみがあります。この膨らみが浮き袋の役割を果たし、葉を水面に浮かべるのに役立っています。
花期は8月から10月にかけてで、純白の3枚の
花弁を持つ
花を咲かせます。
花は一日でしぼむのが特徴です。トチカガミは
雌雄異株であり、雌
花には先端が分かれた6本の雌蕊があり、雄
花には6本の雄蕊があります。
トチカガミは、国際自然保護連合(IUCN)の
レッドリストでは、2001年の評価において「LEAST CONCERN(低懸念)」に分類されています。しかし、日本では環境省の
レッドリストにおいて「準絶滅危惧(NT)」に指定されており、その生育状況が懸念されています。
脚注
トチカガミは、水質汚染や生息地の減少により、個体数が減少している地域があります。
類似種にアサザがありますが、トチカガミは葉が丸みを帯びていることで区別できます。
参考文献
林弥栄監修、平野隆久写真 『野に咲く
花』
山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑1〉、1989年、ISBN 4-635-07001-8。
外部リンク
トチカガミ(植物形態学)