トトメス2世

トトメス2世の治世とその影響

トトメス2世は、紀元前1518年から1504年の間、あるいは前1493年から1479年の短い期間、古代エジプト第18王朝の第4代ファラオとして在位しました。彼の即位名は「アアケペルエンラー」で、意味は「偉大なるラーの形」です。トトメス1世の下位の妻の子供として生まれたトトメス2世は、異母姉であり正妃のハトシェプストと結婚し、王位を受け継ぎました。しかし、彼の治世は病弱で、特筆すべき業績や大規模な建築事業を残すことなく、没したと伝えられています。

彼の治世においては、ハトシェプストに対する警戒感があったと言われています。具体的には、側室イシスとの間にできた子・トトメス3世を後継者と指名し、ハトシェプストの勢力を牽制したとされています。しかし実際には、トトメス2世やトトメス3世がハトシェプストを危険視していた確固たる証拠は存在せず、彼女が幼少期の義息の摂政としての役割を果たしていた可能性も否めません。後世にハトシェプストの記念物が抹消されたことから、このような推測が広がったと言われています。

統治期間に関する研究

トトメス2世の統治期間については研究者の見解が分かれており、比較的短いとする説と長いとする説に二分されています。短命とされる理由の一つに、治世中の大規模な建築記録が見当たらないことがあります。また、彼の名が刻まれた記念碑はハトシェプストやトトメス3世によって流用され、書き換えられていることも影響しています。

短命説に強力な根拠として挙げられるのは、建築監督のイネニが彼の治世中も存命であり、また、この時期に行われたとされる事業はトトメス3世の治世に完成しています。トトメス2世の印章の発行数も少なく、他の王と比較してわずか65個しか残っていないことも、彼の治世期間が短いことを示唆しています。対照的に、長期間の在位を示す資料も存在し、例えばイネニの碑文には彼が「巣の中の鷹」と表記されています。

この表現は王が幼少時に即位した可能性を示しており、彼の治世が12年から14年ほどあったのではないかとの解釈もあります。さらには、ハトシェプストの治世のセド祭が彼が即位した年から30年目に行われることや、トトメス2世の墓が昔は彼女のものとされていたという点も、この議論を複雑にしています。

埋葬の謎

トトメス2世の埋葬については正確な場所が特定されていないものの、彼のミイラはデイル・エル・バハリにある隠し場所で発見されました。発見されたミイラには傷跡や斑点が見受けられ、頭部には脱毛の痕跡も確認されています。これらは直接的な死因に関与した感染症の証拠と考えられ、王が虚弱な体質であったことを示唆しています。トトメス2世の死亡推定年齢は長い間30歳とされていましたが、2007年の調査では40歳頃とされたため、彼のミイラは父トトメス1世のものである可能性も議論されています。

このように、トトメス2世の統治、埋葬、及びその評価には多くの謎が存在します。今後の研究により新しい知見が明らかにされることが期待されます。

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