トトメス3世

トトメス3世について

トトメス3世（紀元前1479年4月28日 - 紀元前1425年3月11日）は、古代エジプト第18王朝の第6代ファラオであり、多くの軍事作戦によって歴史に名を刻む人物です。彼は54年間の治世のうち、最初の22年間を叔母であるハトシェプストと共同で統治しました。ハトシェプストの死後、彼はエジプトの唯一の支配者となり、驚異的な軍事的成功を収めました。

統治と共同統治

トトメス3世の治世は、彼の継母であるハトシェプストとの共同統治で始まりました。この時期、エジプトは大きな繁栄を遂げ、ハトシェプストは実質的な支配者として王権を行使しました。一方、トトメス3世は当初それに追随する立場にありました。しかし、彼が成長し、指導者としての能力を発揮するようになると、ハトシェプストは息子のアメンホテプ2世を共同統治者に任命しました。

軍事的成功

トトメス3世は、広く軍事の天才と称され、彼の治世中にアジアとアフリカの周辺諸国へ頻繁に軍事行動を展開しました。彼は少なくとも17回の大規模出兵を行い、敵国の350の都市を占領しました。また、ユーフラテス川を越えてミタンニ王国の勢力を抑えるために攻撃を行い、エジプトを国際的な超大国へと成長させました。

国家の改革と影響

トトメス3世による軍事的勝利は、エジプトの国家体制にも変革をもたらしました。彼は征服地を効果的に植民地化し、各地域に監督官を置いて厳しい支配体制を築きました。この時期、シリアの王子たちはエジプトに貢物を捧げ、人質として息子を送ることを義務づけられ、エジプトの権威が周辺地域に広がりました。

文化的遺産

トトメス3世は、建築や工芸方面でも多大な業績を残しました。彼の治世には、50以上の神殿が建設され、数多くの彫刻や絵画が制作されました。特に、彼は装飾用の柱の使用を革新し、前例のないスタイルでの建築を行いました。また、彼の時代以降に制作された墓は、全体がかつてないほどの装飾によって彩られました。

トトメス3世の功績は、彼が死去した後も長年にわたり評価され、後継者たちにも影響を及ぼしました。特にアメンホテプ2世やトトメス4世は、有能な指導者であったため、トトメス3世の築いた帝国は安定した状態を保ちました。

隠された真実

トトメス3世は、ハトシェプストの死後、彼女の名や像を抹消しようとしました。この行動には様々な解釈がありますが、彼女の記録の抹消は、女性君主の即位が今後繰り返されることを防ぐためとも言われています。また、彼の治世には、過去の建物から資源を流用することも行われ、この時期の建築物にはハトシェプストの影響が色濃く残されています。

最後の時期

トトメス3世の治世の最後の2年には、息子のアメンホテプ2世が共同統治者として彼のもとに置かれました。この王の死後、彼は王家の谷に埋葬され、後世に多くの人々に記憶される人物として残りました。トトメス3世の治世は、古代エジプトの中でも特に輝かしい時代となり、彼の軍事的、文化的、政治的な成果は、今なお多くの人々から称賛されています。

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