トニナ

トニナ遺跡の探検

トニナ（Toniná）はメキシコのチアパス州に位置し、古代マヤの遺跡として知られています。現在のオコシンゴの東側、オコシンゴ盆地の北斜面にあり、西側には有名なパレンケが約65キロメートルの距離で存在します。この遺跡は、マヤの低地と高地をつなぐ貿易路の一部であったと考えられています。トニナという名前は現代に付けられたもので、古典期の時代には「ポ」または「ポポ」と呼ばれていました。

遺跡の特徴

トニナの遺跡は、他のマヤ遺跡と異なり、急斜面上に位置し、7層にわたるテラスが特徴的です。それぞれの層には数多くの建物が立ち並び、その姿は非常に壮観です。最も下の層には大きな神殿や球戯場が設けられ、訪れる人々に深い印象を与えます。

ここで発見されている遺物は非常に多く、特に『マヤ神聖文字碑文集成』には250種類以上のものが記録されていますが、新たな発見が今も続いています。捕虜を描いた多くの像や、祭祀などに使用された円板状のモニュメントが見られ、遺跡の文化的な側面を物語っています。特に注目すべきは、第5層から見つかった奇怪な彫刻が施された漆喰のフリーズで、その独特なデザインが多くの考古学者の関心を集めています。

最近の発見では、2015年にトニナのアクロポリスの下に、これまで自然の丘と考えられていたものが実は74メートルの高さを持つ巨大なピラミッドであることが確認され、興味を引く結果となりました。

歴史の流れ

トニナの歴史をさかのぼると、古典期前期の建築の上に後期の建物が建設されているため、6世紀以前の詳細は明らかではありません。しかし、687年にはパレンケに攻撃されて敗れ、688年にキニチ・バークナル・チャークが即位すると、再び勢力を拡大し、東のラカンドン地方への進出を試みます。711年にはパレンケを破り、その王を捕えるという戦果を挙げました。

9世紀に入ると、トニナも他のマヤ都市のように衰退していきますが、地理的に辺境にあったため、比較的遅くまで人々がこの地に住んでいたと考えられています。具体的には、909年の日付が記された石碑が残されており、マヤの長期暦において最も遅い記録となっています。その後も約100年間、何らかの形で人々がこの地域に住んでいたとされていますが、9世紀の墓からはトルテカ文化の影響も見られ、中央メキシコの人々もこの土地に影響を与えたという説があります。

再発見の経緯

トニナの再発見は1545年にドミニコ会による教会の建設から始まりました。17世紀末には修道士ハシント・ガリドがこの地の存在を記録しました。さらに1808年にルクセンブルク出身の探検家ギヨーム・デュペーがトニナを訪れ、その様子を記録しています。1920年代にはデンマークの考古学者フランス・ブロムと、アメリカのオリバー・ラ・ファージが初の科学的調査を行い、その結果が後に出版されました。

1972年から1980年にかけてはフランスの考古学調査団が発掘作業を行い、1978年以降は[メキシコ]]の[[国立人類学歴史研究所]のフアン・ヤデウンを中心にさらなる発掘と修復作業が進められています。

トニナは、古代マヤ文明の魅力を今に伝える重要な遺跡として、訪れる人々にその壮大さと豊かな文化を感じさせてくれるでしょう。

もう一度検索