トニー・マルティン

トニー・マルティン：タイムトライアルのスペシャリスト

トニー・マルティン（Tony Martin、1985年4月23日生まれ）は、ドイツのコトブス出身の元自転車プロロードレース選手です。その卓越したタイムトライアル能力で知られ、数々の輝かしい成績を収めました。

プロとしてのキャリア

2008年にチーム・ハイロード（後のチーム・HTC - ハイロード）とプロ契約を結び、プロとしてのキャリアをスタートさせました。2011年には、世界選手権個人タイムトライアルで初優勝を飾り、その後2013年まで3連覇を達成。世界トップクラスのタイムトライアルスペシャリストとしての地位を確立しました。

2012年、所属していたHTC - ハイ・ロードの解散に伴い、オメガファーマ・クイックステップ（2015年からはエティックス・クイックステップ）に移籍。2014年のツール・ド・フランス第9ステージでは、残り59km地点から独走で逃げ切り、タイムトライアル以外のステージで初の勝利を飾りました。

2015年のツール・ド・フランスでは、第1ステージから総合首位と僅差につけ、第4ステージでは終盤にアタックを仕掛け、ステージ優勝と同時に自身初のマイヨ・ジョーヌを獲得。しかし、第6ステージ終盤の落車で右鎖骨を骨折し、無念のリタイアとなりました。

2016年の世界選手権個人タイムトライアルでは、2位の選手に大差をつけて圧勝し、2年ぶり4度目の優勝を果たしました。これは、ファビアン・カンチェラーラと並ぶ最多記録です。

2017年シーズンは、カチューシャ・アルペシンに移籍。その後、2019年にはチーム・ユンボ・ヴィスマに移籍しました。

主な戦績

2006年：国内選手権U23部門 個人タイムトライアル 優勝
2007年：ツール・ド・ラブニール 総合2位
2009年：パリ〜ニース 山岳賞、ツール・ド・スイス 総合2位、山岳賞、世界選手権 個人タイムトライアル 3位
2010年：ドイツ選手権 個人タイムトライアル 優勝、エネコ・ツアー 総合優勝、世界選手権 個人タイムトライアル 3位
2011年：ヴォルタ・アン・アルガルヴェ 総合優勝、パリ〜ニース 総合優勝、ツール・ド・フランス 区間1勝、ブエルタ・ア・エスパーニャ 区間1勝、世界選手権 個人タイムトライアル 優勝、ツアー・オブ・北京 総合優勝、クロノ・デ・ナシオン 優勝
2012年：ツール・ド・ベルギー 総合優勝、ドイツ選手権 個人タイムトライアル 優勝、ロンドン五輪 個人タイムトライアル 2位、世界選手権 チームタイムトライアル 優勝、世界選手権 個人タイムトライアル 優勝、ツアー・オブ・北京 総合優勝、クロノ・デ・ナシオン 優勝
2013年：ヴォルタ・アン・アルガルヴェ 総合優勝、ティレーノ〜アドリアティコ 区間1勝、ツール・ド・ベルギー 総合優勝、クリテリウム・デュ・ドフィネ 区間1勝、ドイツ選手権 個人タイムトライアル 優勝、ツール・ド・フランス 区間1勝、世界選手権 チームタイムトライアル 優勝、世界選手権 個人タイムトライアル 優勝
2014年：ツール・ド・ベルギー 総合優勝、ツール・ド・スイス 区間2勝、ドイツ選手権 個人タイムトライアル 優勝、ツール・ド・フランス 区間2勝
2015年：ドイツ選手権 個人タイムトライアル 優勝、ツール・ド・フランス 区間1勝
2016年：ドイツ選手権 個人タイムトライアル 優勝、世界選手権 チームタイムトライアル 優勝、世界選手権 個人タイムトライアル 優勝
2017年：ドイツ選手権 個人タイムトライアル 優勝
2018年：ドイツ選手権 個人タイムトライアル 優勝
2019年：ドイツ選手権 個人タイムトライアル 優勝
2021年：ドイツ選手権 個人タイムトライアル 優勝、世界選手権 チームタイムトライアル混合リレー 優勝

プレースタイル

トニー・マルティンは、卓越したタイムトライアル能力を武器に、数々の勝利を挙げてきました。特に、世界選手権個人タイムトライアルでの4度の優勝は、彼の才能を証明するものです。また、ロードレースにおいても、積極的な走りでステージ優勝を飾るなど、オールラウンドな活躍を見せました。

2021年の世界選手権チームタイムトライアル混合リレーでの優勝を最後に、現役を引退しました。

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