トバゴの海戦

トバゴの海戦：17世紀、カリブ海で繰り広げられたフランスとオランダの激突

トバゴの海戦は、1677年3月3日にカリブ海のトバゴ島を舞台に、フランスとオランダの間で繰り広げられた海戦です。仏蘭戦争の一環として発生し、フランスのエストレ伯爵が率いる艦隊が、オランダのヤコブ・ビンケス提督率いる艦隊を打ち破りました。

戦いの背景

当時、オランダ艦隊は西インド諸島を巡航しており、ビンケス提督はカイエンヌとトバゴ島を占領、さらにマリー＝ガラント島やサン＝ドマングを略奪していました。フランスはグランセ侯爵の艦隊しか派遣できず、資金不足から十分な増援を送ることができませんでした。しかし、エストレ伯爵が自ら資金を拠出したことで艦隊の武装が可能となり、1676年10月6日にブレスト港を出航することができました。

エストレ伯爵はまずカイエンヌを攻撃して奪還し、マルティニーク島で兵員を乗船させました。1788年2月20日、トバゴ島に到着し軍を上陸させます。その進軍中、フランス艦隊はニーウ＝フリシンゲン（現スカボロー）に停泊していたオランダ艦隊との決戦に臨むことになります。

戦闘の経過

1677年3月3日、フランス艦隊は現地の船員を捕らえ案内させ、戦列を形成して港湾に進入しました。ニーウ＝フリシンゲン港は三角形に近い形状で、入り口の幅は約2マイルでしたが、実質的に使用できる幅は350メートルしかありませんでした。水深約15メートルの場所には、オランダ艦隊が1列に並んで停泊しており、艦隊と陸地の間には商船が停泊していました。

港湾からの脱出が困難な状況の中、フランス艦隊は攻撃を開始します。午前9時から10時には両艦隊はごく近い距離で砲撃を応酬しました。激しい砲火の中、オランダ艦「ハウス・テ・クラウニンゲン」が炎上し、エストレ伯爵の旗艦「ル・グロリュー」は退避を試みましたが、爆発した「ハウス・テ・クラウニンゲン」の破片が「ル・グロリュー」に引火し損傷を与えました。他にも数隻の商船が炎上する被害が出ました。

フランス艦「ル・マルキー」も同様に炎上したオランダ艦の影響を受け、「ル・グロリュー」とほぼ同じ運命をたどります。オランダの火船による攻撃を受けた「ラントレピーデ」は座礁し、多数の士官が戦死したため、残された乗組員はアルコールを飲んでしまい、抵抗力を失いました。その後、「ラントレピーデ」はオランダ艦隊に拿捕され、焼却処分となりました。「ル・プレシュー」も座礁しましたが、乗組員は自沈を図ろうとした艦長を阻止し、結果としてオランダ艦隊に拿捕されました。

最終的に、戦闘はフランス艦隊が4隻、オランダ艦隊が7隻を失うという結果に終わりました。

戦闘後

フランス艦隊は港湾から撤退し、兵士の回復を待ってトバゴを離れ、3日後にグレナダに到着しました。エストレ伯爵は8月に帰国後、新たな艦隊を率いて再び出航し、12月12日にトバゴの占領に成功しました。この際、戦列艦「ル・プレシュー」とフリュート1隻、フリゲート1隻を拿捕しました。

戦いの意義

トバゴの海戦は激しい戦闘ではありましたが、仏蘭戦争の行方を左右するほどの大きな影響はありませんでした。しかし、カリブ海におけるフランスとオランダの勢力争いの一局面を示すものとして、歴史に名を残しています。

もう一度検索