トマス・アンド・アグネス

有限会社トマス・アンド・アグネス

有限会社トマス・アンド・アグネスは、日本の芸能事務所であり、略称はT&Aです。かつては「チャンズ」または「CHAN'S」というブランド名で、輸入・小売販売業も展開していました。

概要

この事務所は、アグネス・チャンの芸能活動を円滑に進めることを目的に設立されました。1987年3月31日に、アグネス・チャンが渡辺プロダクションから独立する際、新たな個人事務所として設立されました。本社は東京都渋谷区広尾にあり、代表はアグネス・チャンの夫が務めています。

主な事業内容は、アグネス・チャンの芸能活動のマネジメントですが、もう一つの主要な事業として、香港を中心としたアジアの雑貨・食材・化粧品の輸入販売も行っていました。具体的には、中華人民共和国香港特別行政区から雑貨などを輸入し、楽天のインターネットモールで「チャンズ」や「CHAN'S」の名前で通信販売を行っていました。しかし、この事業は2010年12月9日をもって終了しました。なお、2003年に楽天に出店するまでの約2年間、東京都港区の台場小香港内に実店舗を構えていました。

論争

取り扱い商品に対する批判

2010年8月、トマス・アンド・アグネスが運営する「チャンズ」のウェブサイトで、ビー・グリーンが輸入したタブレット状の霊芝エキス「五色霊芝」を販売する際、「目を治し、肝臓の機能を補い、心を落ち着かせ、寛容な心にする」といった効能を謳っていました。この販売方法に対し、早稲田大学名誉教授の大槻義彦は「霊芝は食用に適さず、摂取によって副作用があるという専門家の警告がある」と指摘し、「高価であり、極めて不適切な商売だ」と強く批判しました。また、厚生労働省監視指導・麻薬対策課も、食品に薬効を謳うことは薬事法に抵触するという見解を示し、大きな騒動となりました。

さらに、同サイトでは風水を取り入れたと称してパワーストーンを販売し、「恋愛運、病気緩和に効く」「黄緑は健康運、仕事運、家庭運を呼び込む」などと宣伝していました。これについても大槻は「パワーストーンとして病気の緩和や健康運などを謳うのは、従来の霊感商法と全く同じだ」と厳しく批判しました。

トマス・アンド・アグネスの反論

これらの批判に対し、トマス・アンド・アグネスの代表は「トラブルは一度もない」と主張し、霊芝エキスは医学者であるアグネス・チャンの姉を含むメンバーが開発した商品であり、価格も適正で「変なものではない」と反論しました。実際に、製造者である香港のビタグリーン社は臨床試験で五色霊芝の有効性研究を行っています。

ただし、誤解を招くことを避けるため、サイト上の問題視された表現は削除する考えを示しました。大槻はトマス・アンド・アグネスの対応に対し、「霊感商法との指摘に対し、素早い対応で商品を撤去したことは評価できる」と述べ、一旦は矛を収める考えを示しました。

アグネス・チャンの主張

2007年の楽天のインタビューで、アグネス・チャンは「中国では昔から霊芝が5種類集まると死なないと言われていた」と述べました。さらに、トマス・アンド・アグネスの商品について「これはその霊芝を集めたサプリメントで、飲むと元気になる気がする。二日酔いにもいいみたいで、私の夫は飲みすぎたらこれを飲んでいる」と語りつつ、「『飲んだら元気になる！』という自己暗示もあるかもしれない」と分析しました。

また、トマス・アンド・アグネスが販売する黒酢「鎮江香醋」についても、「中国の考え方では『黒』は腎臓に良く、ホルモン系にも良い」と説明しました。

しかし、大槻の発言をきっかけに批判が相次いだため、アグネス・チャンは「薬事法抵触のことは全く知らなかった」と反論し、「誤解を与え、ファンを心配させて申し訳ない」と主張しました。

アグネス・チャンの釈明に対する批判

この釈明に対し、大槻は「『誤解を与えた』というのは大嘘で、霊感商法は彼女が確信して行ってきたことだ」と酷評し、騒動をさらに悪化させました。マスコミに対し、大槻は「医学的に効果が認められていないのに効用を謳うのは薬事法違反だ」と繰り返し指摘し、トマス・アンド・アグネスの営業活動は違法行為だと批判しました。

代表の謝罪

事態を受け、トマス・アンド・アグネスの代表はマスコミの取材に応じ、「全て私の管理不行き届き」と経営責任を認め、謝罪しました。その後、楽天での販売を全て中止し、リニューアルを予定していましたが、2010年12月9日をもって楽天での販売を終了しました。

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