トマス・アースキン (1705-1766)

トマス・アースキンの生涯：政治と家のために生きた男

トマス・アースキン（Thomas Erskine、1705年 - 1766年3月16日）は、18世紀のグレートブリテン王国で庶民院議員を務めた政治家です。彼は、激動の時代に翻弄されながらも、自身の信念と家族のために行動しました。

生い立ちと教育

1705年頃、第23代マー伯爵ジョン・アースキンとその最初の妻マーガレットの息子として生まれました。幼い頃からウェストミンスター・スクールで教育を受け、学問に励みました。しかし、彼の人生は、父が起こしたある事件によって大きく変わります。

ジャコバイト蜂起と私権剥奪

1715年、父ジョン・アースキンはジャコバイト蜂起を主導します。当時、トマスはウェストミンスター・スクールに在学中でした。父は1716年に大逆罪で私権剥奪となりますが、トマス自身は私権剥奪を免れました。その後、父と合流し、1724年にはフランスのアイルランド人連隊で中隊長を務めます。

帰国と政界への道

1728年、叔父ジェームズの尽力により帰国を果たします。ジェームズは、父の旧領であるアロアを買い戻し、トマスに与えました。さらに、ロバート・ウォルポールと初代アイラ伯爵アーチボルド・キャンベルに引き合わせ、トマスをスターリング・バラ選挙区から出馬させ、当選に導きました。これにより、トマスは政界への足掛かりを掴みます。

政界での活動と苦悩

1729年に陸軍大尉となったトマスは、議会で陸軍関連の議題において政府を支持しました。しかし、叔父ジェームズがアイラ伯爵から受けた「消費税法案に賛成すれば、マー伯爵位を復活させる」という約束が反故にされたため、1734年に野党に転じます。同年の総選挙では、スターリングシャー選挙区から出馬しますが、落選してしまいます。

結婚と家族

1741年、初代ホープトン伯爵チャールズ・ホープの娘シャーロット・ホープと結婚しました。しかし、夫婦の間に子供は恵まれませんでした。

再び政界へ、そして引退

叔父ジェームズが与党に復帰すると、トマスも再び政界への道を歩み始めます。1747年2月に行われたスターリングシャーの補欠選挙で当選し、同年の総選挙ではクラックマナンシャー選挙区から無投票で当選しました。しかし、1754年の総選挙には出馬せず、政界から引退しました。

フリーメイソンとしての活動

トマス・アースキンは、フリーメイソンの一員としても活動しました。1749年から1750年まで、スコットランド・グランドロッジのグランドマスターを務めています。

死去

1766年3月16日、子供のないままこの世を去りました。

トマス・アースキンは、激動の時代を生き、政治家として、軍人として、そして家族のために奔走しました。彼の生涯は、当時のイギリス社会の複雑な状況と、その中で生きる人々の苦悩と希望を映し出しています。

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