トマス・エンデル

トマス・エンデル（1793年11月3日 - 1875年9月28日）は、19世紀のオーストリアを代表する風景画家の一人です。彼は、その繊細な筆致と色彩感覚で、自然の美しさをキャンバスに描き出しました。

エンデルはウィーンで生まれ、双子の兄弟であるヨハン・エンデルもまた画家として活躍しました。兄弟揃ってウィーン美術アカデミーで学び、フーベルト・マウラーの指導を受けました。特にトマスは風景画に才能を発揮し、1816年にはアカデミーの大賞を受賞しています。

エンデルの画業における重要な転機は、1817年にポルトガル・ブラジル及びアルガルヴェ連合王国のブラジル地域への探検旅行に参加したことです。この旅行で彼は、約1000枚にも及ぶデッサンや水彩画を制作し、ブラジルの豊かな自然や風土を記録しました。これらの作品は、彼の風景画家としての名声を確立する上で大きな役割を果たしました。

ブラジルからの帰国後、エンデルはイタリア、パレスチナ、ギリシャ、パリなど、ヨーロッパ各地を訪れ、様々な風景を描きました。1836年にはウィーン美術アカデミーに戻り、教授として後進の育成に尽力しました。1849年まで教鞭を執り、多くの才能ある画家を育てました。

エンデルの代表作としては、「グロースグロックナーの風景」、「チロル城」、「ソレントの海岸」などが挙げられます。また、「リオ・デ・ジャネイロの景色」はウィーン美術アカデミーに、「森の中の教会」はベルリン美術館に所蔵されています。これらの作品は、彼の風景画に対する深い理解と愛情を示すものであり、現在でも多くの人々を魅了し続けています。

トマス・エンデルは、風景画を通じて自然の美しさを伝え、後世に多大な影響を与えた画家として、その名は永遠に語り継がれるでしょう。

代表作品

グロースグロックナーの風景
チロル城
ソレントの海岸
リオ・デ・ジャネイロの景色（ウィーン美術アカデミー所蔵）
* 森の中の教会（ベルリン美術館所蔵）

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