ベルリン美術館

ベルリン美術館（Staatliche Museen zu Berlin）

ベルリン美術館は、ドイツのベルリンに所在している博物館群で、1830年にプロイセン王家のコレクションを元に設立された「旧博物館」を起源としています。この美術館は単独の施設ではなく、ベルリン市内の様々な地区に位置する多くの美術館を含む集合体です。主に「博物館島」（ムゼウムスインゼル）やティアガルテン地区、ダーレム地区に分散しています。

ベルリン美術館の構成

ベルリン美術館は、プロイセン文化財団によって運営され、全体で18の部門が設けられています。その内容は以下の通りです：

• - 古代エジプト美術館およびパピルス・コレクション
• - 古代（ギリシャ、ローマ）美術コレクション
• - 先史・初期歴史博物館
• - 古代末期・ビザンティン美術館
• - 古代近東美術館
• - 絵画館
• - ナショナルギャラリー
• - 彫刻コレクション
• - 版画素描コレクション
• - イスラム美術館
• - アジア美術館
• - インド美術館
• - 工芸美術館
• - 民族学博物館
• - 民俗学博物館
• - 貨幣室
• - 芸術図書館
• - 石膏模造製作所

各部門は必ずしも独立した博物館に相当するわけではなく、1つの建物内に複数の部門が展示されている場合や、逆に1つの部門が異なる建物に分かれていることがあるため、訪問する際には注意が必要です。たとえば、ペルガモン博物館では、古代美術コレクション、古代近東美術、イスラム美術の展示が同一の建物の中で観覧できます。

博物館島の概要

ベルリン美術館の発祥地である博物館島は、世界遺産に登録されています。この島はベルリン市の中心部に位置し、シュプレー川の中州の北半分を占めています。博物館島には、旧博物館、新博物館、旧ナショナルギャラリー、ボーデ博物館、ペルガモン博物館の5つの館があります。1830年に王フリードリヒ・ヴィルヘルム3世の命により開館した旧博物館を皮切りに、19世紀を通じて整備が進められました。

各博物館の主な概要は以下の通りです：

• - 旧博物館（Altes Museum）：1830年開館、カルル・フリードリッヒ・シンケル設計。ギリシャ神殿風の建築で、古代美術コレクションを展示しています。
• - 新博物館（Neues Museum）：1859年開館。大戦の被害を受け長らく閉館も、2009年にエジプトや先史部門を再開。
• - 旧国立美術館（Alte Nationalgalerie）：1876年開館、主に19世紀絵画が展示されています。
• - ボーデ博物館（Bodemuseum）：1904年開館、彫刻コレクションや古代美術が展示され、2006年に再開。
• - ペルガモン博物館（Pergamonmuseum）：1930年開館。ヘレニズム彫刻や古代の建物が再構築されている独特の展示が特徴です。

戦争の影響と再建

第二次世界大戦中、博物館島は甚大な被害を受けました。美術品の一部は火災や疎開により失われ、東西ベルリンの分断を経て、博物館の運営も変化しました。戦後、1990年に東西ドイツが統合されると、両地域の美術館が整理され、画廊や展示内容も見直されました。その結果、1998年には新たな絵画館が建設され、作品が適切に展示されるようになりました。

主な収蔵作品

ベルリン美術館では、多くの著名な絵画作品が所蔵されています。以下はその一部です：

• - アルブレヒト・デューラー『ひわの聖母子』（1506年）
• - ルーカス・クラナッハ『青春の泉』（1546年）
• - ヤン・ファン・エイク『聖堂の中の聖母子』（1440年頃）
• - レンブラント・ファン・レイン『スザンナの水浴』（1647年）
• - ヨハネス・フェルメール『真珠の首飾りの女』（1660年-1665年頃）
• - アルノルト・ベックリン『死の島』（1883年）

このように、ベルリン美術館は多様な文化や歴史を反映した重要な美術館群であり、過去から未来へとつながる芸術の宝庫です。

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