トマス・サックヴィル (初代ドーセット伯)

初代ドーセット伯爵 トマス・サックヴィル

初代ドーセット伯爵トマス・サックヴィル（1536年 - 1608年）は、イングランドの政治家、廷臣、詩人であり、貴族。16世紀後半から17世紀初頭にかけて、エリザベス朝からステュアート朝初期の激動の時代に、その才能を発揮し、多岐にわたる分野で重要な役割を果たしました。

生涯

1536年、トマス・サックヴィルは、政治家リチャード・サックヴィルの息子として生まれました。彼は、サリントンのグラマースクールで学び、インナー・テンプルで法律を学びました。一説にはオックスフォード大学やケンブリッジ大学にも在籍したと言われていますが、確証はありません。

1558年、メアリー女王の時代に庶民院議員として政界入り。その後、エリザベス女王の時代にも議員を務め、政治家としてのキャリアを積み重ねていきました。また、彼はフリーメイソンの活動にも熱心であった時期があったようです。

1567年、エリザベス女王によりネーデルラント大使に任命され、同年バックハースト男爵に叙せられました。これにより貴族院議員となり、政治的な影響力をさらに強めていきました。彼は枢密顧問官としても活躍し、数々の裁判に関与。スコットランド女王メアリー・ステュアートの裁判では、死刑宣告を伝えるという重責を担いました。

1588年、政敵のレスター伯ロバート・ダドリーの死後、女王からの信頼を深め、出世を重ねました。教会問題コミッショナー、ガーター騎士団のナイトに叙され、外交問題を担当。ネーデルラントやフランスとの交渉で重要な役割を果たしました。

1599年、大蔵卿に就任し、国家財政を担う重責を担いました。1601年のエセックス伯ロバート・デヴァルーの裁判では、大家令を務めました。エリザベス女王の崩御後、ジェームズ1世の時代にも重用され、1604年にはドーセット伯に叙せられました。

1608年、枢密院会議中に急死。爵位は長男ロバートが継承しました。

人物

サックヴィルは、政治家としてだけでなく、詩人としても才能を発揮しました。特に、トマス・ノートンとの合作による『ゴーボダックの悲劇』は、ブランクヴァース（無韻詩）を用いた初期の英語劇として知られています。また、『役人の鏡』などの作品も残しています。

栄典

1567年 バックハースト男爵
1604年 ドーセット伯爵
* 1589年 ガーター騎士団ナイト

家族

サー・ジョン・ベイカーの娘セシリー・ベイカーと結婚し、4男3女をもうけました。長男ロバートは、後に第2代ドーセット伯爵となりました。

トマス・サックヴィルは、激動の時代に政治家、廷臣、詩人として多才な才能を発揮し、イングランドの歴史に名を残しました。

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